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メタリック・ファンタジー  作者: oga
第五章 魔族の都市
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プラン

「俺のシナリオは、お前が向こうの世界に行くところから始まる」


 流星は、都市へのルートの説明を始めた。

てっきり、基地に空いた穴を使うものと思っていたが、予想は外れた。


「基地に空いた穴じゃ、狭すぎて途中でつっかえちまう可能性がある。 最悪、そこを使うしかなかったが、ドローンを飛ばしてこの世界を探った結果、もう一か所、都市に通じている穴があることが分かった」

 

 流星は、壁に貼ってある世界地図に近づき、海のど真ん中を指さした。

そして、ズボ、と人差し指で穴をあけた。


「……海に穴?」


「ご名答」


 ふつーに言えや。


「途中までは船で行けるとして、その穴へはどうやって飛び込むんだ?」


「そのまま船で飛び込めばいい。 反転して裏側に行ける。 説明が難しいが、一枚の板の上にこっちの世界、その裏側に魔族の都市があって、その間に重力が発生してるって感じか」


 ……こいつ、説明下手過ぎか?

意味わかんねーけど、わざわざ気球とかを使って降りる必要はねーみてーだな。


「で、その先は?」


 まさか、魔族と戦争をおっぱじめろってんじゃ、ねーよな?


「お前ら3人じゃ、魔族と戦うには戦力不足もいいとこだ。 オードリーの武装モードって手もあるが、もっといい案がある。 奴らが熱中しているスポーツ、トカゲに参加しろ」

 

「トカゲ?」


 流星曰く、トカゲ、っつーアメフトみてーな競技があるらしい。

タンカー、キッカー、ゴーラーの3つに分かれて、トカゲの頭を持ってゴールラインを割れば得点っつー競技だ。

わざわざ、トカゲの頭をボールにする意味が分かんねーけど。

魔族っぽいからか?

んなことより、気になるのは役割だ。


「俺がタンカーで、ヒロハルがキッカー、チズルがゴーラーをやればいいって訳か。 リーグ戦みてーなのに参加すりゃいいのか? 人間がいきなり競技に参加できんのかよ」


「……わかんねー。 ただ、必ずしも奴ら魔族が、俺等のことに敵対感情を抱いているとは限らねーだろ」


 ……そいつを探せって話か。

何か、途方もねー気がすんだけど。

すると、流星は手にしていた剣をこっちによこした。


「手がかりがないわけじゃない。 こいつを使え」


 それは、さっき見せてきた剣。

十福神の剣、っつったか。


「こいつは、俺が作った剣だ。 一礼してから素振りすることで、10ある縁起物のどれかが状況に合わせて出現する」


 10の縁起物。

招き猫、銭亀、7福神、くま手、稲、升、小判、おかめ、小槌、かえる。

この内のどれかが現れて、助けてくれるとのことだ。

何か、神社にこういうおまけ付きのおみくじ、あったよな。


「俺のプランじゃ、魔族のチームといい試合ができりゃ、友好関係を築くことができんじゃねーか、って思ってる」


 ……なるほどな。

バトって戦争になるよか、そっちの方がぜってーいい。

もし、そのプランがうまく行けば、戦争は一時休戦だ。


「面白そーじゃねーか」


 いきなり、室内に別の声が響いた。

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