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メタリック・ファンタジー  作者: oga
第四章 南極探検
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南の島病院

 ダメージを数値化して表示される動画を見て、イーダは驚愕した。

そして、次の瞬間、画像は途切れた。


「……何かで撃ち落とされたみたいッスね」


 この映像、上空を飛来するタカの目を通して送られていたが、光の追尾レーザーによって、迎撃された。


「地上にある技術じゃなくないスか? 俺のHP(ヒットポイント)、980なんで、かすっただけでも結構やばいッスよ」


「ああ、計画に支障がでる程度には、な。 この球体をどうにかしなければ、地上を手に入れることは難しい」


 今まで、圧倒的な戦力差がありながら、地上を手にできなかった理由に、ドラゴンの存在があった。

追い詰められて、人間がなりふり構わずドラゴンを解放した場合、地上は未曾有の戦場と化す恐れがあった。

そこで、この侵略推進部は、先にスノーポイントを落とし、拠点を奪うことで、ドラゴンへのアクセスを封じる手に出た。

ここまでは良かったが、オードリーの出現によって、この脅威への対処を余儀なくされた。


「一度、地上に出て、この球体を奪還する」


 アーロの下した決断。

それは、直接地上に乗り出し、オードリーを奪う、というものだった。








「うっ……」


 ここは、どこだ?

何か、左右から生ぬるい風を感じる。

起き上がって見渡すと、白いローブを着た女が2人、両脇から団扇(うちわ)をあおいでいた。


「お目覚めになられましたか」


「どこだよ、ここ」


「ここは、スノーポイントから北に位置する、南の島病院です。 あなた様は、シロクマとの戦いで傷を負われ、気を失っていたのでございます」


 ……北にあるのに南の島かよ。

確かに、エキゾチックな雰囲気があるし、南の島っぽいけどな。

あの時、角を頭から生やした奴を見かけて、何だこいつ? みたいに思ってたら、オードリーが俺の肩を見てこう言った。


「お前、その傷でよく平気だな」


 周りの出来事に気を取られていた俺は、指摘されて改めて肩を見た。


「……うぷっ」


 中の肉がむき出しで、肩が血に染まっていた。

俺はそこで、気を失ったんだ。

団扇をあおいでいた巨乳のお姉さんから、鍵を貰う。


「こちらがあなた様のお部屋でございます」


「501号室か」


 そこが俺の病室らしい。

1階にはドリンクバー的なものがあり、リンゴジュースをコップについで、部屋へと向かった。

階段を上っていると、聞き覚えのある声を耳にした。


「よう」


 ……ボウズ?


「おめーも、ここにいたのかよ」


「ああ、俺も深手を負っちまってよ。 しばらく、ここにお世話になることになりそーだわ。 ところで、お前の部屋、何号室だ?」


 まさか、部屋まで競争だ、とか言い出すんじゃねーだろうな?

リハビリ中だっつの。


「教えねーよ。 じゃーな」


 俺は、そそくさと階段を上がっていった。

501号室に入ると、またしても予想外の光景を目の当たりにした。


「おかえりなさい、あなた」


 チズルが、なぜか501号室にあるソファでくつろいでいた。


「何でお前がいんだよ」


「何でって、ひどくない? お腹に赤ちゃんいるのに」


「……はあっ!?」


 どういうことだよ!

俺は、赤ちゃんができちまうような行為を、こいつとした覚えはねーんだが……

でも、よく見ると、腹が膨れてるし、マジで妊娠?

俺の子供なのか?


「ケガが治っても、しばらくここにいていいみたい。 お金なら、いくらでもあるし」


「いくらでもって、俺とお前の金、あわせてもせいぜい100シルバーだろ?」


 基地の修繕で50シルバー。

2人合わせて100シルバーだが、いくらでもあるってのは大げさだ。

まあ、チズルが貯金してたのかもだが。

だが、俺の予想は外れた。


「オードリーが1万シルバーで売れたのよ。 だから、生活にはもう困らないわ」


 オードリーを売っただって?

あんな奴、売れんのかよ。

AIの機能を外してくれんなら、500円くらいの価値はあるかも知れねーけどな。

しっかし、急展開だ。

仕事から離れて、こんな楽園みてーな所にこれるとは。

今までずっとしんどかったし、罰は当たらねーか。


「なあ、ちょっと膝枕してくれねーか?」


「いいわよ、こっち来て」


 ……簡単に承諾されたんだが。

怪我が完治して、冒険を再開できる自信ねーわ。

もう、ずっとここにいていいんじゃねーか?

うっとおしいオードリーのやつもいないしな。

俺が、膝枕でくつろいでいると、扉をノックする音が聞こえた。



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