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メタリック・ファンタジー  作者: oga
第四章 南極探検
52/105

魔法

 街に入る手前で船を止め、俺たちは外に出た。


「っし、行くぞ、みんな」


 向かう方向とは逆行して、街の住人が、悲鳴を上げながら走ってくる。

その中に、血まみれの兵隊が混ざっていた。


「はあっ、はあっ、ミナト殿! ミナト殿ならば…… ぐっ」


「おい、大丈夫かよ!? 状況はどうなってんだ?」


「街の住人の避難と、生物との交戦に分かれておりますが、とても我々では……」


 敵は訓練された兵隊より強いらしい。

っつーことは、俺らも連携を取らなきゃ、倒せる相手じゃないってことだ。


「みんな、単独行動は避けろよ。 1匹に対して、全員で囲って戦うんだ」


「了解!」


 街の中枢に向かうにつれて、状況が悪化していくのが分かった。

建物には火の手が上がり、そこら中に人の死体が転がっている。

それに、血の匂いも濃くなってる気がする。

この先だ。

この先で、悲鳴やら咆哮が聞こえてくる。

一旦立ち止まり、ブタに言った。


「敵を見つけたら、まずは俺たちで同時に斬りかかるんだ。 いいな?」


「わ、分かった……」


 背中の剣を掴んで、俺は血の霧の中へと突っ込んだ。








「……!」


 複数人の兵隊の亡骸の中心に、見覚えのある奴が立っていた。

身長は3メーターくらいの、全身真っ白い毛に覆われた生き物。


「……おや」


 しろくまジャケットの、シロクマだ。

一瞬、俺の足が止まった。


「気をつけ……」


 チビが後ろから叫んだが、遅かった。

俺はとっさに剣を前に構えたが、気づくと地面に横たわっていた。

シロクマは、俺を突破した後、チビを殴りつけた。

チビはどうにか盾でガードしたものの、上から無慈悲に殴り続けられる。


「ちっきしょ……」


 肩を思いっきり爪でえぐられたっぽい。

感覚がねーけど、地面が血で真っ赤だ。

その時、ヒロハルがパチンコで白い粉の袋を飛ばした。


「やった!」


 顔面に命中。

しかし、ダメージはなく、逆に相手を引き付ける結果になる。


「……小麦粉は食べ物ですよ」


「ヒロハル、逃げてっ」


 チズルが、短剣を構えて前に出る。

ダメだ、おめーも逃げろっつの!

シロクマが爪を振り下ろしたが、猛スピードでオードリーがチズルの前に躍り出た。

ガアン、という音が鳴る。


「オードリー!」


「馬鹿野郎、お前らは逃げろ」


 オードリーが体からスパイクを出し、突進しようとした時、動きが止まった。


「なんだ、ありゃ!?」


 オードリーの体に、氷が付着して、地面に貼りついている。


「魔法、ですよ。 こんなこともできます」


 シロクマの手には、氷の刃が握られている。

俺は激痛に耐えながら、前に踏み出そうとしたが、間に合わない。


「チズル、ヒロハル、逃げろーーーーーっ!」


 氷の刃が振り下ろされた。

血が辺りに飛び散る。


「……」


 チズルはヒロハルをかばっている。

そのチズルの前に、ブタが立っていた。

ブタが、2人を守ったのか。

ブタの体からは、血がシャワーのように吹き出し、その場に崩れ落ちた。


「ブタアアアアアアアッ!」


 ブタを、殺しやがった……

ふざけんじゃねえ……

これ以上、仲間を殺されてたまるかよ!


「うおおおおおおおおおっ」


 俺は、シロクマに斬りかかるべく、感覚のない手で剣を握りしめた。

刺し違えてでも、あいつを殺す。

だが、剣が相手に届く前に、氷から抜け出したオードリーが、俺の前にやって来た。


「さっき、メタル通りからコアを拝借してきた。 武装モード、いけるぜ」


 ……は?

なんだ、そりゃ。



 



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