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メタリック・ファンタジー  作者: oga
第四章 南極探検
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戦う決意

 飛び出したはいいものの、街に向かう途中、俺は不安しかなかった。

いくら野党ゴブリンを倒したっつっても、戦力はたかが知れてる。

それに、今はボウズとガリクソンとJDもいねーんだ。

火力は半分以下だろ。

兵隊が束になってもかなわない相手に、勝てんのか?

……兵隊がめちゃくちゃ弱いだけかもしれないけどよ。


「おっさんは、戦えんのか?」


「昔、カラテという異国の格闘技を習ってた。 腕前は、アオオビ、だけどな」


 ……ダメだ。

戦力になりそうもねー。

おっさんはポーズをとって、アチョー、とか、ワチャー、とか言ってる。

外国人が見様見真似でやってる感じで、とても戦える風じゃない。


「あれ、やばくない?」


 窓の外を見ていたチズルが、声を上げた。

俺も、窓から街を見る。


「……おいおい」


 空が、赤く染め上げられている。

煌々と照らし出された夜空は、不吉以外の何者でもない。


「最悪、ハナだけでも探し出して、離脱した方がいいかもな」


「……」


 返事はなかった。

少しの間の後、ブタが口を開いた。


「……何で、逃げなきゃいけないの?」


 何だと?

思わぬ反論だった。


「ゴブリン倒して、いい気になってんじゃねーよ。 下手したら、死ぬかもしれねんだぞ?」


 今のブタみたいに、実力もないのに、下手に自信を持ってる状態が一番やばい。

恰好つけて、死ぬ気かよ。


「勝てないからって、簡単に手放していいの? 今いる場所は、そんな程度のものなの?」


 ……何言ってんだ、コイツ。

俺は、ブタの胸倉をつかんだ。


「意味わかんねんだよ、てめえ!」


 罵られて、頭に血が上った。

しかも、ブタに。

俺は、周りの声も聞こえなくなった。

拳を振り上げた瞬間、ブタが俺のことを見据えて、言った。


「僕は、ずっと戦ってきた! こんなデブだけど、ここで生きていきたいからっ!」


 いや、まて。

おめー、何度か逃げ腰だったりしたよな?

つか、ブタのことはどうでもいい。

俺はどうなんだ?

俺は、ここに来る前は、逃げてばっかだったじゃねーか。

学校が嫌になって、家にもいられなくなって。

トカゲの森で、決意したハズだった。

ここを、俺の居場所にするって。

でも、また逃げるのか?

ブタが言ったみたく、戦おうともしないで。

もし、俺をここから追い出そうとしてくる奴がいたら、戦って追い返せ。

じゃねーと、いつまでたっても逃げ回るだけだ。

ここが、正念場なんじゃねーのか?


「……目ェ、覚めたわ」


 俺は、もう一度、仲間を見回した。


「街で、戦おう」


「当たり前だよ!」


 今度は、満場一致で返事が返って来た。 

何か、頼りになるやつらだわ。


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