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メタリック・ファンタジー  作者: oga
第四章 南極探検
50/105

災害

 俺たちは一人ずつ、体重の軽い順にロープを登り始めた。

最初はヒロハル。

次に、チビかチズルかで揉めたが、盾の重量を考え、チズルが2番手となった。

弓を背中に担ぎ、登る。


「よし、次は俺だな」


 俺は、両手両足を使って、シャクトリムシみたくロープをよじ登った。

幸い、高さは7.8メーターってとこで、学校にある登り棒くらいの高さだ。


「……ブタが心配だよな」


 あいつ、ぜってー逆上がりとか出来ない運動音痴タイプだと思うわ。

まあ、剣術を習ってたみたいだし、腕の力がありゃ大丈夫か。


「っし」


 俺は、ロープ伝いに崖の上へと這い上がった。


「後、2人だな」


 崖の上のポ〇ョならぬ、崖の上のオードリーが呟く。

結局、下で30分くらい躊躇していたブタも、泣きべそをかきながら、どうにかよじ登って来た。


「ったく、世話の焼ける……」


 最後に、おっさん船長が下から上がってきた。


「全員、無事だな」


 一人も欠けていないのを確認すると、ようやく俺の緊張は解けた。

雪原に落ちたメタルの件だったり、ドラゴンを見世物にする話だったり、これからやるべきことはかなり多いが、まずは帰って眠りてーわ。

近くには、雪かき丸と似たような船が止めてある。


「これに乗り込めばいんだよな?」


 オードリーに尋ねると、船の横にいた兵隊みたいな格好をした男が、小走りで近づいてきた。


「ミナト様、問題が発生しました」


 ……こいつ、何で俺の名前知ってんだ?

しかも、問題?


「何だよ、問題って」


 兵隊風の男は、強張った表情のまま、口を開いた。


「数時間前、上空をメタルが飛来し、この地に落ちた影響で、街にいた生物が凶暴化、現在、未曾有の災害となっております」


 ……!

何だって!?


「街が、戦場に?」


「はい、凶暴化した生物は我々では手に負えず、死者は多数。 そこで、野党ゴブリンを倒したチーム・ミナト様の協力が必要です」


 ……そういうことか。

俺たちは、野党ゴブリンを倒したことで、多少なり有名になったらしい。


「ねぇ、ハナもスノーポイントよね?」


 ……そうだ。

駆けつけねーと!


「おめーら、街に急ぐぞ」


「う、うん……」


 俺たちは、急いで船に乗り込み、スノーポイントへと向かった。




 



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