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メタリック・ファンタジー  作者: oga
第一章 森のトカゲ
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トカゲに注意

「代用の基盤なんてあんのかよ?」


「体ノナカニ、ドライバートキバンガハイッテマス」


 急にしおらしくなっちまって…

ぶつくさ言いながら、つなぎ目に指を入れ、中を開ける。

入ってるのは、白菜、しめじ、ペットボトルのお茶、賞味期限がいつか分からないヨーグルト、缶チューハイ……

てか、転がり過ぎてぐちゃぐちゃじゃねーかよ。

これか?

俺は、それらしきものを手に取った。


「んで、基盤はどうやって取り換えればいい?」


「表ノ面ニ、ビス穴ガヨッツアルノデ、ソレヲハズシテ下サイ」


 どこにビスなんてついてる?

蓋を閉じて、オードリーの体を転がして探してみると、あった。

ドライバーをビスに突き立てて、クルクル回して外す。

取れたビスはポケットに入れて、2個、3個と外し、最後のに取り掛かる。


「あっ!」

 

 ビス山がつぶれた。

こうなると、面倒だ。

ドライバーをあてがって、体重をのせて……

……ダメだ、余計、山がつぶれた。


「ビス穴がナメちまった。 ここにある道具だけじゃ、多分外せねーわ」


「……」


 オードリーが何か言いたげな顔をしている。

いや、表情なんてねーから、こっちが勝手にそう思ってるだけか。


「……仕方ナイデスネ。 先ニススミマショウ」


 優しいなオイ。

オードリーが街までの道を把握してるから、俺はその後に着いていく。

坂になってるとこは、オードリーを押して進むしかない。

さっそく、そういう場面に遭遇した。


「くっそ、やっぱ、どっかで基盤交換しねーとダメか」


 スパイクがあれば、難なく越せる坂も、俺が手で押してやらなきゃならない。

その都度剣を床に置いて、取りに戻ってくんのもめんどくせーから、剣の切っ先と柄にツタを括って、背負えるようにした。


「あとどれくらいで街につくんだよ?」


「コノペースダト、2日ハカカリマスネ」

 

 2日!?

そんなにかかるのかよ……

空はうっすら暗くなってきている。

完全に陽が落ちたら、真っ暗で何も見えなくなっちまうから、そうなる前に、雨風を凌げるような場所を探さねーと。


「……あそこなら、少しはマシか?」

 

 木が腐って、中がえぐれている所を発見した。

しゃがんでやっと入れる程度のスペースしかないし、快適とは言えねーけど、こんな所に旅館なんてあるわけないから、我慢するしかない。

 寝るとこは見つけたから、次は飯か。

確か、冷蔵庫に白菜としめじがあったよな。

どっちも、そのままじゃ食えねーけど、鍋、ねえし。

ってか、火もねーじゃん。

オードリーのヒーターが使えりゃ、それで水を沸かせるかも知んねーけど、今は使えんのか?


「オードリー、ヒーター使えんのか?」


「ヤッテミマス」


 オードリーの体から、ぼんやりと熱が発せられた。

ちょっとあったかい。


「これが限界か?」


 んだよ、全然ダメじゃねーか。


「明かりも使えねーの?」


 オードリーからは、何の反応もない。

接触が悪いだけか?

ガン、と蹴りを見舞うと、うっすらと明かりがついた。


「……うわああああああっ!?」


 明かりがついた瞬間、俺の目の前に、無表情のトカゲが現れた。






 


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