基地での作業
おっさん船長に事情を説明。
現時点で魔物の気配はないため、俺たちは死体を建物から出して、埋葬することにした。
チズルとヒロハル、おっさん船長は、雪かき丸の中で待機。
その間に、俺とブタ、チビの3人で作業をすることとなった。
「はあ、あっちいな……」
室内で作業している内に、だんだん汗が滲んできた。
一旦、ジャケットを椅子に掛けてから、死体を引きずって外に出す。
「これで全部か?」
「うん、こっちも、もう無いよ」
死体は全部で7体。
全員、腹から血を流して死んだ痕跡があり、多分、同じ魔物の仕業だろう。
スコップで雪をどけ、そこにできた窪みに死体を埋めていく。
外は照り返しがきつく、思っていた以上に暑い。
作業を終えると、雪かき丸に戻って、他の奴らを呼んだ。
「これから作業に入っけど、先にオイル交換、やっちまうか?」
外が暗くなる前に、そっちを終わらせた方がいいかも知れない。
すると、おっさん船長が言った。
「いや、梯子が一本しかねえから、手分けした方がいい。 オイル交換は一人でできんだろ。 壁の修繕も大した数はねえから、一人だ。 残りは手分けして、部屋の掃除だ。 床の血を拭きとらねーといけねーから、人数が必要だろう」
これらの作業を夕方までに終わらせなきゃならない。
振り分けとしては、俺がオイル交換で、ブタが穴の開いた壁の修復、ヒロハル、チズル、チビが建物の清掃だ。
必要な道具類は、全部雪かき丸の倉庫にあるとのことだ。
「じゃあ、一旦解散!」
俺は、先に梯子を持って、街灯のオイル交換をすることにした。
建物の周りに6本、取り囲むようにして、街灯が設置されている。
梯子をポールにかけ、釣ってあるランプを一旦外して、降りる。
ポールの高さは、大体3メーターってとこか。
要領は、森の街でやった時とほとんど同じな為、淀みなく作業を行う。
あの時は150個くらい交換したし、こっちは楽勝だ。
俺がランプにオイルを入れて、梯子に上っていると、下から声がした。
「時間ねえぞ、急げ」
オードリーだ。
こいつは転がるしか能がねーから、作業はできねー。
だったら、大人しくしてろっての。
「こっちはいいから、ブタの方見てやれよ。 あいつ、トンカチの使い方が危なっかしいからよ」
「……俺がいないからって、適当な作業はすんじゃねーぞ」
そういうと、オードリーは建物の外壁へと向かった。
ふう、うっとおしいのがいなくなったぜ。
俺は、小一時間で街灯のオイルを全て交換し終え、中へと入った。
取って付きのドラム缶を持ち、もう片手には柄杓。
室内のランプは、手の届く位置にあり、梯子は必要ない。
通路数か所と、室内をそれぞれ一か所ずつ。
室内清掃より、だいぶ早く片が付きそうだ。
「あんちゃん、終わったらこっち、手伝ってよ」
ヒロハルは、雪を床にまいて、たわしのようなものを使い、ゴシゴシこすっている。
だが、こびりついた血の汚れは中々落ちない。
洗剤でもありゃいいが、そんなものはなさそうだ。
「ある程度でいいんじゃねーか? 一日で終わらせなきゃいけねーし」
オイルを交換しながら、返事をした。
「うん、でも、終わったら手伝ってね」
「わーったよ」
ランプを全部交換すると、雑巾とたわしを持って、清掃作業に加わった。




