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メタリック・ファンタジー  作者: oga
第四章 南極探検
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雪かき丸

 メタル通りを抜けた先に、クエストを受注できる役所があった。

中に入ると、受けられるクエストの一覧が壁に貼られている。


「何だよ、楽勝じゃねーか」


 基地修繕のクエスト。

概要としては、壁の修復、室内清掃、ランプのオイル交換だ。

要するに、今までの複合クエストで、一通り経験したことのある俺にとっては、うってつけだ。

しかも、報酬は50シルバーと破格。

迷わずそれに申し込んで、他の奴らはどうするのかを聞きに、しろくまジャケットのある店の前まで戻って来た。







「あいつら、何食ってんだ?」


 戻ってくると、みな、ベンチに腰かけて、一心不乱にそれを口に運んでいた。

誰一人、俺に反応する奴はいない


「何だそれ、ソフトクリームか?」


「あ、あんちゃんじゃん。 ハトのフンっていう、この街の名物だよ」


 見てくれは完全にソフトクリームだけど、なんっつーネーミングだよ……

食欲無くすわ。


「今さっき、クエストを受注して来たんだけど、お前らどーすんだ?」


「……」

 

「……」


「……」


「……」


「……」


 誰かリアクションしろっての!

しかも、夢中になりすぎて、口の周りベトベトだしよ。


「もういいわ、そのまま聞いてくれ」


 俺は、基地修繕のクエストの概要を説明した。

メンバーは、ヒロハル、チズル、ブタ、JDことハナ、チビの5人。

そういや、ボウズはどっか行っちまったな。

……もしかして、馬車に置き去りのままか?


「私、ちょっと興味あることがあって、今回はパスしよっかな」


 ようやく返事をしたのは、ハナだ。


「何だよ、興味あることって」


「ここら辺、有名な家具職人がたくさんいて、私、前々から自分で弓を作ってみたいと思ってたのよ」


「へえー、自前の弓ね」


 チズルが口の周りを腕でふきながら、言った。

女子が腕でふくなっつの……


「うん。 もしうまく作れたら、それを売って自分のお店出したいなって」

 

 ……なるほどな。

そういう目標があるんなら、別に引き留める必要はねーか。


「ハナは家具職人に弟子入りする感じか。 他は?」


「分からないことは、あんちゃんに聞けばいいから、それやろっかな」


「私も」


 ヒロハル、チズルは参加決定。

ブタ、チビも、今までやって来た仕事で、1日50シルバーという報酬が魅力的だったらしく、ハナ以外の4人と、オードリーも加わり、俺を含めた合計6人で、再度クエストを受注する運びになった。







 

 夜が更けて、指定された街の広場で待っていると、男がやって来た。

髭面のおっさんで、船の船長がかぶっているような帽子を頭に乗せている。


「今から出発して、到着は明日の朝だ。 資材関係は雪かき丸に積んであっから、後はおめーらが乗り込めばしまいだ」


 雪かき丸?

俺たちはとりあえず、おっさん船長の後に続いて歩いた。

周りには何もない、雪原地帯へとやって来ると、


「……なんだこりゃ!?」


 この世界には似つかわしくない、戦車みたいなものが雪原のど真ん中に置かれている。

もっと、犬ぞりみたいなのを使うのかと思っていた俺は、意表を突かれた。


「こいつが雪かき丸だ」


「どうやって動いてんすか、これ」


 すると、おっさん船長は雪かき丸の脇の蓋を開けた。

カラカラカラ、という音がし、覗き込むと、ずっこけそうになった。


「ハムスターかよ……」


 ハムスターが丸いカゴの中で走って、それが歯車を介して、雪かき丸を動かす仕組みになっていた。

分かってたけど、ディーゼルエンジンとか、そういう高度なものはねーよな。


「早く乗りなよ!」


 ヒロハルに急かされ、俺は雪かき丸に乗り込んだ。

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