表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メタリック・ファンタジー  作者: oga
第三章 森の街のクエスト
40/105

別れ

「マデエエエエエエエ」


「うわあああああああああっ」


 俺は全力で太刀ゴブの背を追ったが、間に合わねー。

誰か、いねーのか!?


「フォローーーっ!」


 俺は叫んだ。

誰でもいい、ヒロハルを助けてくれっ。

太刀ゴブが刀を振り上げる。

もうだめか?

すると、刀に何かが命中した。


「チッ」

 

 飛んできたのは、矢だ。

それが弾けて、地面に刺さった。

JDの矢のおかげで、太刀ゴブの足が一瞬止まる。


「てめえの相手は、俺だっ」


 俺は、剣を掲げて、太刀ゴブに振り下ろした。

相手もすぐ反転。

刀でガードされたが、俺はめげずに連打。

更に、ガリクソンが斬りつけた脇腹を、柄で殴りつけた。


「グフッ」


 思いっきり顔を歪める。

これは効いたか。


「おらおらおらっ」


 何度も殴りつける。

剣を持った手で、顔だろうが脇だろうが、お構いなしに殴り続ける。

とうとう、相手は膝をついた。


「はあっ、はあっ……」


 くそ、殴るのに夢中で、息が上がっちまった。

これからとどめだってのに、力が入らねー。

そんなことをしている内に、相手は立ち上がって太刀を握りなおした。


「くっそ……」


「わああああああーーーっ」


 いきなり、太刀ゴブの背後に誰かが突進してきた。

ブタだ。

こいつの存在を完全に忘れてた。

太刀ゴブの背には、剣が突き立てられた。


「…………」


 太刀ゴブは一言も発さず、太刀を手から離す。

死んだみてーだ。


「まだ、終わってねぇ!」


 休憩してる暇なんてねえ。

次は、ボーガン使いの方だ。

だが、そっちはもう戦闘が終わっていた。

俺が向かった頃には、ボーガンゴブは、チズルの短剣で首の頸動脈を切られて、息絶えていた。


「ハナ、大丈夫!?」


 チズルが叫んで、JDの方へと走った。

JDは、ヒロハルを援護するため、太刀ゴブに向けて矢を放った。

その隙に、ボーガンを肩に食らっちまったらしい。


「すまねえ、助かった」


「いだだ…… みんな、平気?」

 

 JDは、自分で矢を引き抜くと、布で肩を巻いた。

なんか、たくましいな。


 戦闘は終わった。

負傷者はボウズ、JDで、ボウズは今、馬車で横になっている。


「……」


 ガリクソンは、死んだ。

俺たちは、ガリクソンの死体を埋葬してやることにした。

手斧で地面を掘り起こして、そこに体を横たえる。

土をかぶせ、みんなで探した手頃な石を、そこに置く。


「お前に助けられたわ。 ありがとうな」


「ありがとう」


 俺とヒロハルは、石の前に手を合わせた。


「これ、天国に行く間に、食べてよ」

 

 ブタが、持ってきたワッカケーキを石の前に添える。


「これも持って行って下さい。 道中、退屈でしょうから」


 チビは、自分の本を添えた。

JDは、荒野に咲いていた花を摘んで、そこに添えた。


「ごめんね、あげれるもの、なくて」


 最後に、チズルが石の前に歩み出た。


「私は、歌を」


 チズルは、胸に手を当てて、空に向かって歌い始めた。






 私は今、南のひとつの星を見上げて誓った

どんな時も、微笑みを絶やさず歩いて行こうと

あなたを思うと、ただせつなくて、涙を流しては

星に願いを、月に祈りを捧げるためだけに生きていきたい

だけど今は、あなたへの愛こそが、私のプライド






 どっかで聞いたことある曲だ。

俺も、ガリクソンのことは忘れねーよ。

ふと、空を見上げると、雪が降っていた。

まるで、舞い散る桜のみてーだ。

この先はスノーポイント。

俺たちは、ガリクソンに別れを告げて、先へと進んだ。


 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ