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メタリック・ファンタジー  作者: oga
第三章 森の街のクエスト
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戦闘開始

「おっ、一発芸でもやんのかよ?」


 ボウズがそう言うと、ガリクソンが指を口に当てて、ピューッ、と音を立てる。

おめー、そんなことできんのかよ。


「えっ、いやっ」


「やめなさいよ男子、ミニーが困ってるじゃない!」


 ここは一体どこ中だよ……

てか、JDもチビに勝手なあだ名付けてやがる。


「おい、お前ら静かにしろよ。 これからこいつ、重要な話すんだからよ」


 ブタは興味なさそうに、剣を鞘から出したり戻したりしている。

チョークがあったらぶん投げてんぞ。


「ご、ごほん。 えーと、ですね。 これから僕らは野党ゴブリンと戦うことになりますが、相手がどういった特徴を持っているか、というのを話たいと思います」


 野党ゴブリンは3匹。

手斧と盾を持ったゴブリン、太刀を持ったゴブリン、弓を持ったゴブリンとのことだ。


「こっちは8人いるので、一匹につき2人以上で挑めばいいかと」


「あん、ゴブリンなんて俺一人で十分だって」


 ボウズは自信満々そうに、言った。


「少しでもリスクを下げないと」


「それなら、他の奴らが勝手に合わせろよ。 俺、連携とかあんま得意じゃねーし」


 確かに、昨日今日あったやつらと連携なんて、簡単には取れないだろう。

俺だって、やったことねーし。

すると、チズルが手を上げた。


「あなたが状況に応じて指示、出したら?」


「それでもいいですが……」


 どうすっか。

戦う前に、チビの言うことに従うみたいなルール作っといた方がいいか?


「多数決で決めっか」








 俺は指示なしの方に手を上げたが、結果的に2対6で、指示アリの方に決まった。

まあ、確かに、パニックになった時とか、冷静に物事を考えてくれる奴に従った方がいいかも知れない。

 昼食を終え、俺たちは更に渓谷の先へと進む。

野党ゴブリンの出現ポイントまで来ると、さすがに無駄話をする奴はいなくなった。

道幅が10メートルくらいしかなさそうな、うねった断崖の道を進む。

左は崖、右は傾斜のきつい坂だ。


「……」


 その時、カラカラ、と小石が斜面から落ちて来た。

坂を見上げる。

ゴブリンが3匹、こちらを見下ろしていた。

チビの言う通り、一匹は手斧と丸い盾を携えており、もう一匹は2メートルくらい長い太刀を背負っている。

そして、もう一匹は、ボーガンを抱えていた。


「敵襲っ!」

 

 俺が叫ぶと同時に、みな、エモノを構える。

手斧ゴブリンと、太刀ゴブリンの2匹が坂を駆け下りて来た。


「おらあああああああああ」


 かけ声を上げながら、ボウズが走り出す。


「おまっ」


「100シルバーは、俺のもんだっ」


 早速、指示に従わないで、単独行動に出やがった。

坂を下り切った手斧ゴブリンに向かい、斧を振り下ろす。

ガアンという音がし、ボウズの斧は盾で受け止められた。


「……!」


「ギエエエエエエエエ」


 飛び出すのが早すぎたせいで、間に合わない。

次の瞬間、ボウズの肩から血が噴き出した。

相手のゴブリンをよく見ると、俺がイメージしていた、猫背の醜い魔物とは全く違う、引き締まった筋肉の、戦士風ゴブリンがそこにいた。

身長は、俺と同じくらいあんじゃねーか?

戦闘不能になったボウズを押しのけ、こちらに向かってくる。

俺は、背負っていた剣を抜いた。



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