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メタリック・ファンタジー  作者: oga
第三章 森の街のクエスト
37/105

馬車の護衛

 俺たち一同は、馬車を取り囲むようにして、徒歩で移動を始めた。

馬車の積み荷は、手紙や食料、資材など様々で、重量があるため、このスピードでしか移動できないらしい。

道は渓谷のような岩場地帯で、草木はほとんど生えてない。

空には、鷹みたいな鳥が円を書きながら飛んでいる。


「つーか、こんなペースで大丈夫なのか?」


 あんまりおせーと、夜になって奇襲を食らうんじゃねーか?

だが、そんな俺の不安をよそに、周りはピクニックにでも来たかって感じで、ゆるい。


「お前、そんなリュックサック背負って、中に何が入ってんだよ?」

 

 ボウズが前を歩くブタに質問する。


「おなか減るなーと思って、ワッカケーキとか持ってきた」


「あ? お前、おやつは3シルバーまでって言ったよな?」


「大丈夫、ワッカーケーキは飲み物だから、おやつには含まれないんだ」


 ワッカケーキはどう考えても飲み物じゃねーだろ!

カレーが飲み物とかいうやつもたまにいるけど、そっちの方がまだ納得できるわ。


「あんちゃんは何か持ってきたの?」


「どっかでおにぎりでも買ってきたかったんだけど、金、1銭もねーんだわ」


 このクエストだけは昼食付きじゃない為、それぞれ準備するよう言われた。


「そんなことだと思って、堅パン、持ってきたよ」


 堅パンは、小麦粉を練って、それを木の棒に差して火であぶって作る。

ちなみに、クソマズい。

ただ、スラム暮らしの人らにとっては、ソウルフードというか、定番の食べ物だ。

なんせ、1シルバーの小麦粉で、10個くらい作ることができる。


「あれか…… まあ、何かしら腹に収めとかねーと、力でねーよな」


 ヒロハルとそんな会話をしている頃、後方ではチズルとJDがガールズトークに花を咲かせていた。


「荒野には、花が一凛、それ私」


 JDが、言葉を一つ読むたび、宙に掲げた手上下させる。


「何それ?」


「ハイクっていう言葉遊びよ。 5,7,5の文字数で構成されてて、この前クエストで一緒になった人に教えてもらったの」


「その振付もしなきゃいけないの?」


「これは自由よ。 こうやって、一つ読むたびに拳を突き出してもいいし」


 ハイクってのは、紛れもなく俳句のことだ。

俺以外にも、地球から来たやつがいんのか?

それは置いといて、拳を突き出して俳句読む奴いねーよ!

伝統は正しく継承されねーとダメだろ。

まあ、いちいち訂正すんのもめんどくせーか。


「暢気なもんですね」


 横から、チビがそんなことを言った。


「……確かに、少し緊張感ねーよな」


「まだ野党ゴブリンの出るポイントじゃないから、いいですけど」


 このチビは、かなり勉強熱心な奴なのかも知れない。

前もって色々調べて来たのか?


「野党ゴブリンの出るポイントって、どこだよ」


「もうしばらく進んだ、細い道ですよ。 断崖絶壁になってて、不用意にスピードを出せないから、簡単に捕捉されてしまいます。 懸賞金付きのゴブリンについても、少し情報を仕入れることができました」


 ……!

その情報は是非とも知っておきてーな。








 適当な場所で、馬車を止めて昼食を取ることになった。

それぞれ手頃な石を見つけ、転がして輪になるように並べ、そこに腰を下ろす。


「はい、堅パン」


 ヒロハルが、リュックから取り出した堅パンを一つ、手渡してきた。


「サンキュ」


 片や、チズルはサンドウィッチを持ってきており、黄色いスクランブルエッグみたいな具が見える。

めちゃくちゃうまそーなんだが。


「みんな、食べながらでいいので、聞いて下さい」


 輪の中心に、チビが歩み出て来た。

 

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