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メタリック・ファンタジー  作者: oga
第三章 森の街のクエスト
32/105

屋敷の清掃2

 あいつ、一人で1階の倉庫清掃してたっけか。


「先生、多分休憩に気付かないで、ずっと掃除してんすよ」


「先生?」


 やべっ、思わず先生っつっちまった。

俺は、腰を上げて倉庫に向かった。


「呼んできますわ」


 



 


 1階の倉庫に向かうと、誰もいない。

つーか、何か床がべたべたしてる。

ブタの汗か?

ふと、俺の頭の上に、ポタリと雫が落ちて来た。


「あん?」


 天井を見上げて、俺は絶叫しそうになった。


「…………っ!?」


 天井の面に、ねばねばの塊でグルグル巻きにされて、張り付いてるブタがいた。


「たす…… けて……」


「何でそんなとこにへばりついてんだよっ」


「壺の…… 中から……」


 壺?

こいつと一緒に外に出した壺か。

あれの中に、このねばねばが入ってたってことか?


「とりあえず、待ってろ。 脚立使って助けてやっからよ」


 俺は一旦外に出て、おばさんに状況を説明した。

すぐに他の奴らで脚立を使ったブタの救出が始まる。


「なあ、このネバネバ、屋敷の中に続いてねーか?」


 ボウズ頭が床に腰を落として、ネバネバを指さす。

俺と2人でそれを辿っていくと、


「階段を使って、2階に伸びてんな」


 せっかく掃除したってのに……

それよりも、壺の中身の正体って……


「スライム、だろーな。 しかも、人食いの」


「人食いのスライム? おいおい、放置してたらやべーだろ」


 依頼主の所に向かってる可能性がある。

ここの主は年寄りだし、グルグル巻きにされる前に、心臓発作で死んじまうんじゃねーか?


「俺とお前で挟み撃ちにして、壺に追い戻すしかねーな。 鍋の蓋とか、追いやれるもん探して来いよ」

 

 鍋の蓋かよ。

台所に行けばあるだろうけど、かなり接近しないとダメだし、危険だろ。

使うと思ってなかったから、剣はツリーハウスに置きっぱなしだ。

…………あのモップが丁度いいんじゃねーか?


「ちょっとそれ、貸してくれ」


「ん、いいけど」


 やせ細ったメンバーからモップをひったくって、2階へと上がる。

廊下の先に、いた。

でかくて透き通った、ナメクジみてーなやつ。

ボウズ頭が壺をここに運んでくっから、俺はあいつの後ろに回って、モップで追い立てればいい。

俺は、駆け出してスライムの脇を通過し、モップを掲げて唸った。


「おい、こっから先に進むんじゃねえっ」


 モップをブンブン振り回し、スライムを後ろに追い立てる。


「プルプルッ」


 スライムは、プルプル言いながら、後退した。

っし、このモップ攻撃を嫌がってるみてーだ。

しばらくすると、ボウズ頭が他の奴と2人で壺を抱えて、2階に上がって来た。

壺を床に倒し、中に追いやれるよう準備する。


「おらおらおらあああっ」


 モップでガシガシ押して、壺の中に追い返すことに成功した。

逃げ出さないよう、蓋をする。

1階に戻ると、おばさんが手を叩いて言った。


「さあ、休憩は終わりよ。 今からみんなでこのネバネバを拭きましょう」


 ほとんど休憩になってねーし。






 

 結局、ネバネバを拭きとって、清掃が完了した頃には、とっくに夜が更けていた。


「あーあ、またこんな時間かよ」


 まあ、今まで夜が更けないで終わった試しがねーから、慣れっこだけどな。

しかし、妙に床がテカテカしてて、キレイになってねーか?

スライムの通り道が、ワックスがけしたみたいになってる。

ブタの奴も、磨き込んだみてーにツルツルだ。


「僕、今日は体洗わなくていいかも!」


 いや、おめーはブタらしく水浴びでもしとけよ。

時間はいくらかかろうが、報酬は5シルバーだった。

その代わり、屋敷の主が飯をごちそうしてくれる運びとなり、深夜、俺はツリーハウスで眠りについた。


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