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メタリック・ファンタジー  作者: oga
第三章 森の街のクエスト
31/105

屋敷の清掃

「どないするん?」


 すると、チズルが右手を上げて返事をした。


「私、やってみたいです!」


「俺も!」


 チズルとヒロハルは弟子入りを志願した。

俺はどーすっか。

クエストがまだ中途半端だし、とりあえずそっち頑張ってみっか。


「俺、クエストを受けながら剣を磨いてくつもりなんで、今はちょっと難しいっつーか……」


「んー、私もあんま時間あらへんのよ。 だから、弟子入りって言っても、せいぜい2日しか教えられへん」


「少なっ」


 ヒロハルが思わず呟く。


「まあ、二日でもみっちりしごけば基礎は身につと思うで」


「しごく……」


 ヒロハルが一瞬引きつった顔をしたが、その2日を凌げば何らかのスキルが身につくかも知れない。

安いもんだろ。

2日の内に、屋敷の清掃とランプ交換だっけか? それを終わらせて、合流すっか。


「チズル、ヒロハル、2日後に、森の広場で合流しよーぜ。 んで、一緒に馬車の護衛のクエスト、やらね?」


「いいかも」


「っし、決まりだな!」


 





 その夜は、ユメリーさんの奢りで、チップスアンドフィッシュ(いわゆるフィッシュアンドチップス)の美味しい店に連れてってもらった。

魚のフライは皿からはみ出すくらいでかくて、俺たち3人は満足して帰った。

つっても、帰路は別々で、チズル、ヒロハルはユメリーさんの宿へ、俺は、ラスト1シルバーを使って、馬車で森の街へと戻った。

そして翌朝、屋敷のクエストを受け、広場へと向かった。







「これで全員かしら? じゃあ、早速向かいますよ」


 集合したのは、全部で5人。

昨日小指を骨折した小太りの(ブタ)もいる。

メガネをかけた、ぱっと見家庭教師みたいなおばさんに連れられ、屋敷へと向かった。


「ここが今日の現場よ。 まず始めに、ここにある荷物を全部外に出して、それから雑巾がけをするから、みんな中に入りなさい」


 ぞろぞろと屋敷の中へと入る。


「みなさん、ご苦労さまですね」


 杖をついた、ここの主と思しき老人が挨拶してきた。

俺も軽く会釈する。

建物は2階建てだけど、1フロアがかなり広い。

ちょっとした学校みたく、廊下が長え。

俺らは、まず倉庫に向かい、机やら、でかい壺やらを外に出した。


「ふーっ、この壺、めちゃくちゃ重てーな」


「そこ、私語は慎みなさい」


 ……るせーな。

このおばさん、マジで家庭教師だな。


「あなたは2階の床拭きをしなさい。 あなたは倉庫の埃をはいたあと、床拭きよ」


 はいはい。

俺が2階に向かうと、同い年くらいの、ボウズの奴に声をかけられた。


「なあ、ただ床拭きしても面白くねーから、勝負しねーか? 俺には、この廊下はそのためにある様にしか見えねんだけど」


「……乗った」


 俺らは、廊下の端に移動して、位置に着いた。


「いいか? よーい…… ゴッ!」


 ドダダダ、という音を立てながら、雑巾がけレースが始まった。


「おらあああっ」


 ほぼ同時に向こう側に到着した為、結果はドロー。


「はあっ、はあっ……」


 手を膝について、息を整える。


「はあ…… なあ、もっかいやって、白黒……」


「白黒どうするつもりですか? あなたたち、廊下に立ってなさい!」







 まさか、こっちの世界で廊下に立たされることになるとは。

つーか、今まで立たされたことなんてねーんだが。


 昼になって、屋敷の外で飯を食うことになった。

芝生の上にあぐらをかいて、支給されたおにぎりを食べる。


「具、何もなしかよ」


 すると、監督のおばさんがこっちに来た。


「あなたたち、おにぎりが1個余ってしまったんだけど、もう一人どこにいるか知らない?」


「もう一人?」


 ……そういや、ブタがいねぇ。




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