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メタリック・ファンタジー  作者: oga
第三章 森の街のクエスト
30/105

劇場にて

 暗幕が上がると、劇がスタートした。

舞台の中央には、1人の女性。

青い髪を肩まで伸ばし、なんつーか、超、美人だ。


「なあ、あれがユメリーか?」


「しっ、黙って」


 チズルは静かに演技に見入っている。

ヒロハルは、自分の小遣いで買ったコーンポップ(ポップコーン)をひたすら口に運んでいる。

序盤、元カノの幽霊が主人公の元に現れる。

主人公は、会うのなら、うち以外の場所で、決まった時間にして欲しいと言い、相手もそれを承諾。

しかし、些細な出来事をきっかけに、主人公が結婚していることがバレてしまう。


「何故なんだ! 禁を犯してまでこちらにやって来たというのに!」


 舞台中央で、男優が叫ぶ。

男は、約束の期日を過ぎると、地獄へと落ちる契約をしていた。


「こうなったら、みんなまとめてあの世に送ってやるっ」


 鬼気迫る演技に、観客はくぎ付けになっていた。

だが、次の瞬間、予想だにしていないことが起きた。

主演の男優が、舞台から飛び降り、腰の剣を抜いて振り回し始めた。


「……はあっ!?」


 演技に熱中し過ぎて、見境が無くなっちまったのか?

男は、最前列に並んでいた俺らに向かって、剣を振り上げた。


「嘘だろっ」


 チズルに向かって、剣が降り注がれようとした瞬間、俺は割って入った。

念のため持ってきていた剣で、それを受け止める。

金属音がし、剣と剣が十字に結ばれた。

……こいつ、所詮俳優だ。

剣に全く威力がない。


「チズル、今のうちにここを出ろっ!」


 俺が叫ぶと、発狂した男は一瞬びっくりした顔つきになった。


「もう、劇どころじゃねーだろ、早く逃げろ!」


 チズルの方を見やる。

すると、こちらも呆気に取られたような顔をしている。

突然、受けた剣が軽くなったかと思うと、男が耳打ちしてきた。


「これは演技ですよ。 このまま斬られたふり、して下さい」


「えっ」


 俺は、顔が沸騰するかと思った。







「よっ、名演技!」

 

 道行く人から、肩を叩かれる。

クソ恥ずかしい。


「あんちゃん、これは当分ネタにされるね」


「るせぇ……」


「ほんと、こっちまで赤っ恥なんだけど」


 劇が終わって、3人で話していると、さっきの主演の男優がやって来た。


「やあ、ナイスアドリブだったね」


「あっ…… す、すいませんでした」

 

 俺は、90度に体を折り曲げ、謝った。


「それより、ユメリーが君らに興味があるみたいでさ。 後で裏の楽屋に寄ってくれないか?」


「えっ、ユメリーさんが!?」


 チズルが目を見開く。

この人は許してくれたけど、ユメリーさんは相当怒ってるんじゃねーか?

はぁ、ついてねーわ。

俺は、また怒られるのを覚悟で、楽屋へと向かった。


「ここかな?」


 扉絵の前には、ユメリー様と書かれた札がある。

ノックをすると、奧から声が聞こえた。


「入ってー」


 ゆっくり扉を開けて、中に入る。

舞台の上で、オーラをキラキラと振りまいていた女優がそこにいた。

チズルも固まっている。

ヒロハルは何故か鼻血を垂らしている。


「そんな緊張しなくてええのに。 舞台から、君たちのことが見えたんよ」


 ……え、この人、関西弁なん?

まあ、それは一旦置いといて、ユメリーさんは、俺らを呼んだ理由を語り始めた。


「君たち、スラム出身でしょ? 実はね、私もそうだったんよ」


「……!」


 この人が、スラム出身?

とてもそうは見えねーけど……


「たまたま劇を見たのがきっかけ。 私も、舞台の女優になりたいなぁ、って思ったんよ。 オーディションを受けようと思ったけど、その時の身なりじゃ門前払いでね」


 それから、身なりを整えるために、様々なクエストを受け、魔物の討伐にも参加したらしい。


「短剣と弓が得意だったなぁ。 とにかく、何が言いたいのかっていうと、スラム出身の子供らは放っとけないんよね。 もし良かったら、少しの間、私に弟子入りしてみない?」


 思わぬ提案だった。


 



 

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