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メタリック・ファンタジー  作者: oga
第三章 森の街のクエスト
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壁の補修

「くっあ……」


 俺は、ツタの裂け目から漏れる光で目を覚ました。

ヒロハルたちの、このツリーハウスは、森に落ちている枝を組み合わせて骨格を作り、その周りをツタで囲って、最後にトカゲの嫌う植物の葉を張って作られている。

ちなみに、トカゲよけのエキスは、この葉っぱから抽出されているとのことだ。


「……いででっ」


 完全に筋肉痛だ。

どうにか剣を拾い、肩に背負って、川の近くに向かう。

腰を落として水をすくうと、それを顔にバシャッ、とかけた。


「……ぷはっ」


 冷てーけど、一発で眠気が吹き飛ぶ。

俺は、深呼吸して、森の空気を肺に取り込んだ。

周りは川の音と、鳥のさえずりだけが聞こえてくる。

何か、すげー贅沢な朝って感じだわ。

俺はその足で、街にある役所に向かった。






 役所に到着したら、早速、壁の補修のクエストを申し込み、集合場所に向かった。

街の広場に到着すると、頭にタオルを巻いた、細マッチョなおっさんらが数人、道具を担いで待っていた。

多分、あいつらだろ。


「あっ、すいません。 壁の補修のクエスト受けたんすけど」


「……ん、新人かな? よろぴこ」


 何だよ、よろぴこって。

まあ、前の怖いおっさんよりか、とっつき易くていいけど。

それから少し待って、メンバーが揃うと、現場へと向かった。


「ここが依頼のあった屋敷だ。 先に挨拶してくっから、マルモト、そこの3人にレクチャーよろぴこ」


「おう」


 リーダーと思しきおっさんが屋敷に入ると、マルモトさんがトンカチを手にした。


「じゃあ、まず始めにお前の頭をたたき割る」


「えっ、うそっ!?」


 小太りの丸めがねをかけた奴が、ひいっ、と身を引く。


「ばっか、冗談だよ。 まず最初に、腐った壁をくり抜く作業から始める。 こいつを使うんだ」


 手には、ギザギザの筒みたいなやつに、クランクがくっついた道具が握られている。


「こいつの名前はグリグリだ。 グルグルじゃねーぞ」


 マルモトさんは、木の壁にグリグリをあてがい、クランクを掴んでクルクル回転させて、使い方を見せた。


「腐った壁を放置してっと、虫が湧いちまうからな。 腐った壁は黒く変色してっから、みりゃ分かる。 こいつで穴空けたら、木の板をあてがって、カンカンで釘を打っていけばいい」


 カンカンってのはトンカチのことか。

説明が終わると、道具を手渡され、みな散り散りになった。

職人のおっさんらは、かなり長い脚立を使って、2階の壁を調べている。

俺たち素人組は、脚立の必要ない1階担当だ。

クエストの用紙には、脚立作業って書いてあったたが、とりあえずはやらなくていいらしい。

俺がグリグリで壁に穴を空けていると、上から声がした。


「おーい、スパイラル持ってきてくれ!」


 スパイラル?

何だ、そりゃ。


「スパイラルって何すか?」


「ばかやろ、おめーが手に持ってる奴だよ!」


「えっ、これ、グリグリじゃないんすか?」


「マルモトあの野郎、また嘘教えやがって。 そいつはスパイラルだ。 早く持って来い!」


 ……ちゃんと教えろっての!

完全にグリグリで覚えちまったじゃねーか。






 穴を空けた後は、ひたすら板を釘で打っていく作業。

的確に、スピーディーに釘を打たねーと、日が暮れる前に終わらねー。

さっきの小太りの眼鏡は、指をトンカチで打って、泣きべそかいて床で横になっている。

マジ、使えねーな。

結局、日が暮れても終わらず、ランタンを腰に下げつつ、作業する羽目になった。

補修が全て終わったのは、夜更けだ。


「みんな、並んでくれ」


 リーダーが順番に10シルバーずつ渡していく。

俺の後ろの眼鏡も同じ10シルバーってのが、ちょっと気に入らなかったが。


「ははっ、やったー!」


「小指、折れてっから、ちゃんと医者に診てもらえよ」


「うん!」


 折れてんのかよ!




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