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メタリック・ファンタジー  作者: oga
第三章 森の街のクエスト
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約束

「連れてくのはいいけど、その後は?」


 …………え、その後?

いや、勢いで連れてくとか言ったけどさ。

ぶっちゃけ、先のことまで考えてなかった。

当面の目的はコアを集めることで、後はどうなるか分からない。

正直、家に帰りてーって気持ちもあるし、流星のやつも、そんな風に考えてる頃かも知れない。

あいつは別にそれでもいいが、俺はどうする?

容姿は別人だし、何より、ヒロハルもいる。

俺が、あー、とか、えー、とか言っていると、チズルが切り出してきた。


「考えてない、のかな。 …………やっぱり、あなたとミナトは別人みたいね。 ミナトは、兵隊になるとは言ってたけど、私たちのことを見捨てるとは言ってなかった。 いつか、ちゃんとした暮らしをさせてやる、って」


 ヒロハルは、ミナトのことを慕っていた。

カスガさんからも一目置かれてる感じだったし、何となく俺の中でイメージはできてた。

俺の思い描いてるミナトは、俺と真逆の、できる奴だ。

そんなやつが、自分勝手に兵隊になって、どっかいっちまうってのは、考えにくい。

だから、チズルの言ったことは、なるほどな、とすぐに納得できた。

俺は選択を迫られてる。

赤井流星のアンドロイド(奴隷)として生きるか、ミナトとして生きるか、だ。


「俺に、ミナトの代わりが務まるとは思えねーけどな」


 思わず、そんな弱音が出た。

ミナトとして生きるってことは、ミナトが考えてたみたく、ちゃんとした職について、養っていくだけの力をつけなきゃいけないってことだ。


「いいのよ。 でも本当に、ミナトはもうミナトじゃないのね」


 そのことを確認する意味合いもあったのかも知れない。

チズルとミナトがどれくらい親しかったのかは分からねーけど、知り合いが別人になったら、少なからずショックを受けるだろう。

もう、俺はミナトじゃない。

でも、ミナトがこなしていた役割は、負わなきゃいけない。

へたこいたら、またがっかりされちまう。


「なあ、今度、ヒロハルと一緒に、飯でも食いにいかねーか?」


 そんな提案をするのが、今の俺にできる精一杯のことだった。


「それだったら、劇、見に行きたいな。 ここから東の海沿いの拠点に劇場があるんだけど、今度そこで「リメンバーミー」っていう新作が公開されるのよ」


「劇か、見に行ったことねーけど、それっていくらすんだよ?」


「港街まで馬車で行くんだけど、一人1シルバー、劇は2シルバーだから、3人で9シルバーかな。 ご飯までは奢れっていわないからさ」


 ……それ以外は奢らせる気かよ。

まあ、元々奢るつもりだったから、別にいいけどよ。


「分かった。 明日は、壁の補修のクエストがあっから、明後日どっかで待ち合わせて、港町まで行くか」  


 こうして、俺とヒロハル、チズルの3人で、劇を見に行く約束を取り付けた。

ちなみに、今夜はヒロハルらの作った、森のツリーハウスで一晩を過ごすこととなった。



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