クエスト仲介業者
ヒロハルたちは現在、仮の住まいを作るために、森の中へと出向いている。
ロビンソン・クルーソーみたいに木の上に家を作るのかもしれねー。
俺も手伝わなくてもいいのか? とつっこまれそうだが、さっき流星にボコボコにされたのを見て、クエスト行って来ていいよ、また殴られちゃうでしょ? とヒロハルに気を使われてしまった。
「ここが街の通りか」
大通りまでやって来た。
チラ見しかしたことがなかったため、マジマジと見るのは初めてだ。
通りはかなり横幅が広く、がタイのいいあんちゃんらが、せわしなく行き来している。
両脇は、建築とかに使いそうな伐採した木の置場となっており、それを運ぶ作業が、今目の前で行われている。
「やっぱ、森が近くにあるから、林業みてーなのが盛んなのか?」
とりあえず、こっからクエストを紹介してくれる場所まで行かねーとだが、どこにそんな場所あんだ?
キョロキョロしながら歩いていると、俺は一瞬、亡霊でも見たかのような気持ちになった。
道端に、泥まみれになった白い球体が置かれていたからだ。
「……まさか、オードリー?」
自力で沼地から脱出したのか?
その球体は、こちらに向かってコロコロと転がって来た。
「……」
何も言わずに、俺のことを凝視している。
すっかり忘れてたわ……
こいつ、そうとう怒ってるに違いない。
「あ、あの、さーせんっした!」
「イイデスヨ、ベツニ。 オコッテナイデスカラ」
いやいや、その言い方、はらわた煮えくり返ってるでしょ?
つか、流星の野郎、帰り道に拾ってけっつの!
基盤も交換できてねーし、このままじゃかわいそうだろ。
「デ、クエストハ、ウケタンデスカ?」
「それがよ、どこでクエスト受けりゃいいのか分かんねーんだわ」
「……ハー、コッチデスヨ」
何か、ため息みたいのが聞こえたけど。
オードリーに連れられてやって来たのは、大通り沿いにある、かなり年期の入った木造の建物だ。
昔の小学校みたいな、そんな雰囲気だが、中は大勢の人らでにぎわっていた。
「ココデハ、コンイントドケヲダシタリ、ヘイタイノ選抜試験ノモウシコミ書ヲダシタリ、色々ナテツヅキガオコナワレテイマス」
要するに、市役所みてーな所だな。
で、クエストはどこで受けりゃいいんだ?
「クエストハ、右カラ二番目ノウケツケデス。 列ニナランデ、モウシコンデクダサイ。 ワタシハ、コレデ」
そういうと、オードリーはコロコロ転がって、外へと出ていった。
「宇宙船まで戻る気か? まあ、いいか」
俺は、クエストの列に並んだ。
ここに並んでるやつらは、剣を背に担いだ戦士みたいな出で立ちの男から、20前後の学生みたいな女性まで、とにかく幅広だ。
列には、10人くらいの人が並んでいる。
ちょっと時間がかかりそうだけど、暇つぶしできるもんもねーし……
すると、施設の人が横から紙を渡してきた。
「本日ご紹介できるクエストです」
「どれどれ」
用紙には、以下のクエストが書かれていた。
・木の伐採 (林業協会) 森から木を伐採するクエストです。 力自慢募集。 報酬10シルバー。
・外壁の修繕 (サカノ大工) 老朽化した建物の外壁の修繕工事です。 主に、脚立での作業になります。 報酬10シルバー。
・屋敷の清掃 (KP清掃) 屋敷の清掃です。 主に、雑巾がけになります。 報酬5シルバー。
・街灯のオイル補充 (マツモトランプ) 通りに設置されている街灯のオイル補充作業です。 報酬5シルバー
・宅配の護衛 (ルネサンス運輸) 隣町までの馬車の護衛です。 剣技など、優れている人歓迎。 報酬15シルバー。
()内は、仕事を提供して下さったオーナー様です。
「……よし、決めた!」




