赤井流星 その20
白いオオカミが、すぐ後ろまで迫って来ている。
口ん中に、ゴミの残骸が入ってきたが、気にしてらんねー。
急いで立ち上がり、振り向いて相手を睨みつける。
「ウウウ……」
オオカミは、全部で3匹か。
立ち上がるのが遅かったら、回り込まれてたな。
つか、どいつも、やる気満々の面で、こっちを睨みつけて来やがる。
……だったら。
「……ウオオオオーーーッ」
俺は、腹の底から、出来るだけおぞましい声を出して、両腕を振り上げた。
クマのマネ、だ。
「キャウウンッ」
オオカミ3匹は、情けない声を出して、その場から立ち去った。
「あっ、ぶねぇ……」
メロンパンがここにやって来た時、コアの剣でクマを作り、窮地を逃れた。
その時の恐怖がまだ、オオカミどもに焼き付いてることを期待したが、予想以上に上手くいった。
「ぶっ…… わはははははっ」
あんな風に慌てて逃げるとは。
思わず、笑いがこみ上げて、吹き出しちまった。
まあ、笑ってる場合じゃねんだけどな。
「はあ…… あ、あれか」
前方に、ブルーのテントを発見。
中に入ると、テーブルに赤い冷蔵庫、ガスコンロやラジオとかが置いてあって、住み心地は良さげだ。
「冷蔵庫のなーかーみーわー……」
湿気った白菜に、インスタントラーメン、インスタントコーヒーか。
インスタントは別に冷蔵庫に入れなくても良くねーか?
俺は、腹ごしらえをするため、水を汲んでガスコンロに火を点けた。
「ぐはっ、うべぇっ」
インスタントラーメンに白菜という、独り暮らしの定番食料を箸でかき込む。
めちゃくちゃ腹が減ってたから、死ぬ程うめぇ。
……で、これ食ったら、どうやってこっから出るか、考えねーとだ。
期間は1週間。
それまでに、チズルを助けなきゃならない。
居場所は聞けなかったが、どっかのバーガーショップにいる可能性がある。
潜入して、チズルが料理されちまう前に助けねーと。
議会の決定は昨日で、まだ猶予期間は残されてるだろう。
「……赤い冷蔵庫、か」
このゴミ山の中からなら、作れるかも知れねー。




