12.見送られた“これから人生”の旅立ち
『よき人生を』
人生設計を終え、その言葉に見送られた“これから人生”達が1番に経験する試練は出産である。ここで無事に生まれることが出来るかもも人生におけるスタートにとって大事なことである。
「おぎゃあ、おぎゃあ」
割れんばかりに上げる産声はこの世に生まれる前から自分がどんな人生を歩むのかを決めて生まれ出た魂達が上げる最初の決意表面なのかもしれない。時にはこの世に生まれてきたことを後悔する声だという人もいるが……。
だが………
「可愛い赤ちゃんですよ」
その言葉に相互を崩して生まれてきた我が子を抱く母親は幸福に満ちていると信じたい。
「かわいい………」
そう微笑む母親の元に生まれた“これから人生”達は寿命が尽きるまでその人生を歩み続ける。
ある“魂”の人生は前途有望に
ある“魂”の人生は修行そうのように苦難の末に
全く互いを知らない存在で別の日に別の場所で生まれた“魂”達はその運命を生きる。
そして………
ここにも例に漏れることなく人生を歩む魂達がいた。
「あ、そうだ。貴史、明日部活の買い出しに付き合ってよ」
肩を並べて歩いていた3人組の1人であった少女が横を歩く少年に話しかける。
「あー、そんなの面倒くせぇよ。幸に付き合ってもらえよ」
少女の言葉に渋面を作るのは自転車を押す少年。
「もう!どうしていつもそんな事言うの!私は貴史に付き合って欲しいのに!」
「まぁまぁ、綾菜も落ち着きなよ」
そう言ってたしなめるのが特徴のない顔をした少年。彼は三橋琴美の送り出さられ、現世においては市川幸哉と名付けられた魂。
「だよな、綾。お前うるせぇんだよ!」
友の援護射撃を受けて渋面を作ったのは佐藤明美の送り出した谷塚貴史と名付けられた魂。
「はぁぁ?あんたの心が狭いだけでしょ!」
幼馴染3組の中で唯一の紅一点。高原聡子の送り出した高島綾菜と名付けられた魂は納得がいかないと頬を膨らませて抗議する
「幸哉も貴史に言ってよ。面倒な事自分に押し付けるなって!」
「はぁ!俺がいつ押し付けたよ!」
「別に買い物に付き合うのはいいけど、俺と貴史は明日も部活あるから夕方からになるけど?」
そう冷静に指摘すれば綾菜が唇を尖らせる。
「うーん、遅くなるのは嫌なのよね。そしてもれなく2人が部活と言うことは私も部活よね」
「だろうね」
「だな」
男子バスケ部に所属する自分達と女子バスケ部に所属する自分達は休みの日はだいたい朝から部活だ。自分の指摘に難しい顔で唸っていた綾菜は肩を落としながら嘆息する。
「それなら仕方ないよね。流石、幸哉。という訳で次の休みには付き合ってよ。貴史」
「はいはい。幸も付き合えよ」
「分かったよ」
「綾菜もそれでいい?」
そう確認すると暫く目をさ迷わせた後、綾菜がため息を吐く。
「うん。それでいい」
「よし、3人で行こうな!」
「りょーかい」
あれから16年の人生を歩んだ彼らは高校生となっていた。
いつもお読み頂きましてありがとうございます。誤字・脱字がありましたら申し訳ありません。
少しでも楽しんで頂ければ幸いです。
亀更新ですがようやく山頂が見えて来たこの小説です。




