真実。
しばらく待っていると、包みをてにして戻ってきた。ハンカチで包まれた四角く薄いもの。
「はい。見てみて。」
手渡され、ハンカチを広げてみる。その中身は更にテイッシュペーパーに包まれていた。テイッシュペーパーも広げ中身を取り出すと何枚かの写真が入っていた。
パラパラとめくり動きが止まる。
と言うか、動けなくなった。。。
「驚いた?それ、弟と結子さん。あなたと結子さん驚くくらいに似てるわね。あんまり似てるから、初めて訪ねてくれた時も疑いもせず家に入れてしまったわ。私ね、普段はとっても用心深い方なのよ。」
あまりの驚きに息が出来なかった。
叔母と私が似ている事より、写真に写った男性がフリーのボンボンさんであることに衝撃を受けたのだ。
「どうしたの?大丈夫?そんなに驚いた?」
話し声が耳に入らなくなり、視界がぼやけ涙が止め処なく頬を伝った。
「まぁ、そんなに泣かないで。私も困るわ。これここに置くわね。少し落ち着くまで隣の部屋に居るから。落ち着いたら呼んで頂戴。」
テイッシュケースをテーブルに起き、隣の部屋に移っていった。私は写真に目を落としたまま拭う事もせず涙を流し続けた。涙ってこんなにも流れるものだろうか。瞼が熱を持ち腫れてくる。隣の部屋の扉が薄く開いて
「大丈夫?」
と声を掛けられた。いつまでも泣くわけにいかない。
「大丈夫です。すみません。」
「なら良かったわ。瞼まで腫らして可哀想に。結子さんとの思い出が溢れてきたのかしらね?きっと素敵な人なのね。弟もよく話していたわ。」
「驚かないで聞いてもらえますか?」
「ええ、良いわよ。」
柔らかな笑みを見たら少し気持ちが落ち着いた。昨日まで起きていた事をこの人に話さなければいけない。そんな気持ちに駆られた。
「実は私、昨日までここを訪ねた日から、本当に昨日まで弟さんと一緒に居たんです。」
「えっ?」
「一緒に食事してスカイツリーに行って、プラネタリウムにも行きました。東京を案内して貰っていたんです。それが突然昨日の夜、明日からもしかしたら会えないかもしれないって言われて。分からないんだって。付き合えるか分からないけど、明日行きたい所、1カ所だけ決めておいてと言われてここに来ることを決めました。一応、今日も約束はしていたけれど、約束の時間には現れませんでした。だからこうしてひとりでここを訪ねて来ました。」
フリーのボンボンさんの姉にあたる人は静かに泣いていた。
「そう。そうなの。それは本当に弟だったんだわ。今日は四十九日できちんと成仏して空に帰って行ったのね。良かったわ。結子さんそっくりなあなたに会えて弟も嬉しかったでしょうね。あの子、とても結子さんの事が好きだったから。」
「私と会えたことは分かりませんが、叔母の事はとても好きだったみたいです。スカイツリーに登ったとき話してくれました。初めて他人を幸せにしたいって思ったって。」
「まぁ。」
フリーのボンボンさんのお姉さんは少女のように笑った。突然イタズラな顔をして
「弟は、あなたの心もさらって行ったのね」
「・・・はい。」
隠さず話そう。
「すごく不器用で、すごく優しい人でした。私、ずっと守られて居たんだと思います。自分の気持ちに気付いた時、好きな人について打ち明けられました。その気持ちが本当に真っ直ぐで、私はこの人が幸せになってくれるなら私は思いを諦めようって思いました。その思い人がまさか叔母だなんて。びっくりです。しかも若い頃の姿だし。」
「そうね~。」
2人で遺影に写った狸のような姿を眺め大笑いした。ほんの少し面影は残っている。
「今の姿で来れば良いのに。図々しい弟ね」
「はい。すっかり騙されました。」
また笑いが起きる。
「でも、叔母も亡くなっていますから今頃天国で結ばれていますよ。ずっとずっと好きだったんだから。」
「そうね。でも少し、叱られて居るかも知れないわね。」「そうですね。」
外はすっかり日暮れて来ていた。私はお線香をあげる許可を貰い仏前にお線香を上げていとまを告げた。
「今日はありがとうございました。失礼します。」
「外まで送るわ。」
外に出ると夕空に飛行機雲が2列、並行して並んでいた。
「2人だったりして?!」
声が揃ってしまい笑う。
きっとそうだろう。
ふたりになれたこと知らせてくれたんだね。
振り返り手を振りながら駅に向かう。
短いけれど濃い3日間だった。
恋することも悪くない。
私は失恋を経験してしまったけれど、愛する気持ちを知った。人生は長い。長い人生の中できっと私は愛する人を見つけるだろう。