第132回・生徒会定例会議~ツェルベルス作戦始動~
・美術部
名ばかりで同人誌製作工場。24時間稼働2交代制。
春夏冬、休みは無く4段ベットがあり下校の文字は存在しない。
入口には『進んで労働する者には自由と富を約束』とアーチ状の鉄看板が在る。
『働』の文字だけは反転して居る。
生徒会の政策で引き籠り、ニート予備軍は強制収容。
食事は最低限出るが栄養は足りず部員は痩せ細る。
美術部ダイエットと言われている。
突撃親衛隊日野正成の管轄。
私立四葉高校高等学園ライヒスビア生徒会に休日など存在しない――ファシズム学園。ブラック企業ならぬブラック学園。先頭に立ち指揮を取る群馬シゲオは率先して勉学はそっちのけで現金を集める事と鳥飼雪美の奴隷として奮闘している。月火水木木金金金と週8日は活動する…
正式な「お兄ちゃん」と成る為に。欲を言えば「にぃにぃたん」と呼ばれたい一心で…
――――南校舎3階『ライヒスヴェア』生徒会総司令部室。
毎週日曜日(学園では金曜日扱いとされる)の午後は定例会議,各部長が集まる報告会。
「美術部、部長、今週の報告を…」
「八ッ! 総統閣下、労働力が低下して生産率が下がっております。逃亡者の数も増えておりますが夏コミ冬コミには支障はありません」
美術部、通称…『棺桶』
下校は許されない強制労働施設。苛酷な作業にGペンを握ったまま倒れる者は続出。自由は許されす粛清による大型ハリセンの恐怖で部員は奴隷扱い。部員の大半は生徒会規約を破った者者で集められ、コミニケーション障害者やニート予備軍も多い。
文化部だがバリバリの体育会系体質で、一か月も耐えれば根性は真っ直ぐに成る。
生徒会の福祉対策部と美術部の連携で使えない生徒は人間以下との政策の元で軟弱な生徒は美術部送りになり苛酷な状況で腐った精神を叩き直される。
「次、漫画同好会の状況を」
「ハッ! 部長城羽みすずの様子が問題かと。相変わらず電波な発言が多いが突如、覚醒。一部男子生徒による城羽派の出現も確認されています。しかし内田ひとみは順調に作品を書きあげ機能は保ったままです」
「その件は既に知っている。内田君は大丈夫だよ。彼女は優秀だ。先ずは城羽みすずの商品化を煮詰める様に。あれは売れる。だが写真部の人材が足りない。対応案を来週までに提出する様に」
――漫画同好会。内田ひとみの優秀性を生かす為だけに美術部とは別に存在を許されている。ひとみの書く絵は神絵師を飛び越え芸術の域に達している。原画を元に版画、シルクスクリーン技法で量産され、絵画としてBL女子ならず全国の同性愛者までに人気は広がり、個展を開けば20万から80万と値が付く。
作品はコアなファンに売れに売れた…
内田ひとみは、作品は完成した瞬間に駄作になると強い信念を持っている真のアーティスト家。
自分しか追わないし書きあげた作品はごみにする。
天才なのだ。
創作物の完成は次なるステージの階段。
究極を求めるあまりに創作活動以外は無頓着で恰好はダラシナイ…
だが、服装にダラシナイ女子は意外と需要が多く彼女の人気の秘密。ひとみは廻りからの評価は対して気にしない。金にも恋愛には興味が無い。
作品は生徒会が押収し資金源にする。彼女が部長を務めないのは本物は影約に徹するとの思想があるからである。
「次、内田監視隊隊長、報告を」
「ハ! 一年半以上追って居ますが、未だモロミエ写真の撮影は成功せず。回し蹴りで負傷者も多く増員を求めます」
「フム、全国のマニアからの要望も強い。之に関しては私が対策を考えよう」
「さて、滝川に関してもそろそろ解決せねば」
「御言葉で在りますが総帥、滝川の画像は世界中に蔓延し財政に直結するには無理が」
「だから君は凡人なのだよ。秋には文化祭が控えて要るのだぞ。データよりも実物に価値があるとは思えんか?」
「しかし、滝川に近づくもの、何故か襲撃に遭い、『滝川を追う者は災い在る』と学園の都市伝説になっております。黒い四月のトラウマも消えてはいません」
「情報部、報告致します。襲撃犯の犯人は要翔也一年生。滝川の自宅の隣に住んでいる筋金入りのストーカー体質です。更に、滝川の中学から大学までの写真、動画、行動記録が詳細に記載されたファイルを所持しているとの噂も囁かれています」
「――何故だ! 何故今頃になって! 私に情報を流さないとは教育がたりんな。要翔也を内田班から棺桶に投獄せよ。役目は親衛隊に任せる」
「…しかし、滝川に関わると災いが」
「んな馬鹿なオカルト信じてどうする。すっとこどっこい! 滝川ファイルを見たいものは起立を」
美術部部長が静かに立ち上がる。続いてPC研(実在は18禁アダルトゲーム開発)も立ち上がり会議室にいる全員が起立した。
「呪いは幻! 現刻より滝川ファイル奪取作戦の開始! 突撃親衛隊…出番だ! コードネームはツェルベルスとする!」