表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/43

物語のハジマリ

幾慧です。

長ったらしい文章ですがお付き合いください。



「っかーっ、おらよ!さっさと起きやがれってんだ!シュネー!」


ボス、ボスという音と腹部に走るとても鈍い痛み、

それ大声で喚き立てる声に起こされた。


「…何よフロスト。まだ外は暗いじゃない。」


「よく見やがれ!ただ曇ってるだけじゃねェか!

お天道サンはとっくに昇っておられるんだよ、

バーローめが!

自分で窓から見てみろ目ェかっ開いて見てみろ!」


私はこの悪い目覚めの元凶が未だにブランケット越しにどーんと乗っかっているのに無性に腹が立って、

ずっと早口で喚いているそいつ―フロストを床に投げ出した。


「もう、こんな寝起きなんて嫌よ。

せっかく夢を見てたっていうのに。」


「夢だぁ?

んなモン、また今日の夜にでも見りゃあいーじゃねェか。」


「フロスト、私はあいにく、あなたと違ってトリ頭じゃないの。

それが不可能だって事をよーく知っているの。トリ頭じゃないから。」


「てんめぇ!俺ン事馬鹿にしたな、この野郎!俺ァ、トリ頭じゃねェ!

それと2回も言うんじゃねーよ、腹立つんだよ、このすっとこどっこい!だったら俺ももっかい言うぞ!俺ァトリ頭じゃねェ!大事だから3回言ってやる、トリ頭じゃねぇぇぇ!!」


「五月蝿いわね。言ったことも忘れちゃうからそんなに繰り返して言うのかしら?言わせてもらうけど、鏡を見なさいフロスト。あなたを見れば誰だってトリ頭って言うわよ。」


そう。

この騒がしいフロストという名の、

私の話し相手は人間ではない。


白鴉である。


昔、城の一塔を与えられた幼い私は、独りはつまらないと駄々をこねたらしく、このギャアギャア物を言う鴉を与えられた。今となっては後悔しかない。


「てめェには言われたくねーなー、シュネー。お前ェだって、小さい頃の記憶がなかったとかいってただろーが!」


まるで切り札(ジョーカー)でも出したかのように、フロストはどうだとばかりに言い放った。


「……それは認めるわ。」


少々気にくわないが、この言葉合戦の負けを受け入れた。確かに、それは事実である。


「…フロスト、あなたは他人ヒトの傷をほじくり返すのが趣味なの?」


ただ、あっさり引き下がるのは嫌なので、少し悲しそうに返してみた。


あ、なんか涙も出てきた。

多分、嘘泣きだけど。


「っつあ、おい、シュネー?な、泣くんじゃねーよ、バーロー!!

あ、ちょ、俺も言い過ぎた。あーその、すまねぇな…悪気はねェんだが…。

えと、ち、ちょいと待ってな、朝食持って来てやっから、な?帰るまでに泣きやんどけ、このヤロー!」


何故か一人で(一羽?)慌てふためき始めたフロスト。

そう言って部屋から猛スピードで飛んでいった。



……トリ頭って便利。


きっと脳のつくりが単純なのね。




これから少しずつ彼女の人生は変わっていきます。お楽しみに。


閲覧ありがとうございました。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ