阻止
私は自分を犠牲にしてでも阻止をする。
阻止しなければならないのだ。
私のせいでこの街のみんなを巻き込んでしまったのかもしれない。
「私のせいで…」
嬢ヶ崎さんと会えた嬉しさと、またあいつらが人間を狙っているという悲しさが私を涙目にした。
私が何をしたというの…?
私は何もしていない。
「貴方のせいではないわ。私のせいよ。私がここにいるから、彼らは私を捕まえに来るのよ。この世界とあっちの世界を繋ぐ扉を封じ込めれば阻止は出来るとは思うけど…。でも、それがどこにあるのか、私にも分からないの。」
「この世界とあっちの世界を繋ぐ扉…?」
私は、その扉がある場所を知っているような気がした。
それは…西山高校の屋上…。
私はあの日屋上であっちの世界に行った。
もしかしたら…もしかしたら、あそこが…?
「あの、嬢ヶ崎さんってあっちの世界に行く前に西山高校の屋上で昼寝してたり…ってないですよね。」
「してたわよ。あの屋上、落ち着くのよね。」
じゃあ、やっぱり…
「私もあの屋上で昼寝をして気がついたらあっちの世界に行ってたんです。もしかして…あの屋上が扉なんじゃ…ないですかね。」
「あ。多分、そうだと思うわ。早速、あの屋上へ行ってみましょう。」
私の足は屋上に行く足ではなかった。疲れ果ててどこにも行きたくない。
そういう足だ。
「でも…あの屋上の扉を開けたらまたあっちの世界に行っちゃうんじゃないんですかね?私、もう行きたくないんです。」
「あっちの世界を破壊しに行くのよ。」
「破壊してあっちの世界が滅びたとしても、この世界に来るんじゃないんですか?逆効果だと思いますけど…」
私はいままでにない知識を働かせた。
「じゃあ、貴方はどうしたいの?このまま彼らを招いてこの街の人は全員死ね、と?」
「そうじゃない!そうじゃないけど、私はこの世界で戦います!」
私は何故か必死だった。
「もう…いいわ。私一人で行くから。」
嬢ヶ崎さん、一人で?
一人って危なくないの?
「ダメ!嬢ヶ崎さんが死んだら嫌!」
「貴方はどうしたいの?あれしないこれしないって。貴方のやってることは、困ってる人がいてもただ見てるだけの人じゃないの!」
嬢ヶ崎さんの言ってることは間違ってはいなかった。
「私は嬢ヶ崎さんと一緒にあいつらと戦いたいだけ!お願い…一人で行くのは絶対やめて。」
「…分かったわ。」
分かってくれた…?
嬢ヶ崎さんの目は真剣な目だった。
もう、あの時の冷たい目じゃない。
すごく真剣な目。
「ここで待ちましょう、彼らを。姫野さん、私と一つだけ約束して。危険だと思ったら私を置いて逃げなさい。」
嬢ヶ崎さんを置いて逃げる…?
そんなことできない…
「嫌です!嬢ヶ崎さん、なんでも一人でやろうとしないでください。私は嬢ヶ崎さんと一緒が良いんです!」
「貴方…死にたいの!?」
「じゃあ、嬢ヶ崎さんは死にたいんですか?」
私は嬢ヶ崎さんの質問をそのまま返した。
「死にたいわけないじゃない!けど、いつかは死ぬ日が来る。私は姫野さんを守りたいの。初めて、私に話しかけてくれた大切な友達…だから。」
大切な友達…
私はその時決めた。
私も嬢ヶ崎さんを守る、と。
守れるかは分かんないけど、守って見せるんだ。




