眠り姫と王子様のKiss
「ステキよね~。」
って、小学生の女のコが言っていた。
ませたガキ。
そう思う。
「いいじゃないの、可愛くて。」
親友が茶化す。
「いいでしょうよ、アンタはー。」
横目で睨んで見せると、きゃらきゃらと笑った。
「彼、明日帰って来るって。」
わざわざ聞いて来てあげたんだから。
笑いの余韻を含ませた声で、確かにそう言った。
「…待ってる。」
本に目を落として呟く。
「眠り姫じゃなくて、拗ねた姫様だね。」
「煩いな、いいもん。」
「あはは。」
―お姫様は、呪いで眠っているんじゃない。
キスして起こしてくれる、ステキな王子様を待ってるんだよ。