↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
影と誓いの冠  作者: 音


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
25/38

第九章 3/3

振り返るまでどれだけ立っていたか分からない。五秒。十秒。空気が落ち着き始めるのに十分な時間——姿の存在が廊下に圧縮していた密度がゆっくり解放されていく。石を取り除いた後に水面が戻るように。灰色の光は手から消えていた。冷たさは残っていたが、今は静かだった。回復していた。何をしたにせよ、行うことに何かを消費していて、その消費が一時的な減少として——不在ではなく疲労として——表れていた。初めて使った筋肉の疲労。

呼吸を意識した。速すぎた。意図的に遅くした——自動的なシステムに意志で上書きする行為。文脈がクラウスに認識できるものであれば承認しただろう種類の。

それから振り返った。

廊下は空だった。

あれは消えていた。それに代わった沈黙は、夜の石造りの廊下の自然な沈黙ではなかった——爆発の後の沈黙だった。聞いていたものが突然除去されたとき、耳が自ら生成する、鳴り響く音の不在。

俺は姿が去った方向に背を向け、セリアの方を向いて立っていた。二人の間には床の革のケースと三歩の距離と、自分に何が起きているかを理解するために使ってきたすべての枠組みの残骸があった。

右手が震えていた。目に見えるほどではなかった——筋肉の内部で振動を感じていた。表面にはまだ達していない深い震え。冷たさはまだあった。弱まっているが覚醒していた。突進して、今また伏せの姿勢に戻りつつある動物のように。休んでいるのではない。再配置している。

動く必要があった。いくつかのことを特定の順序で行う必要があった。誰か他の人間がこの廊下に入ってくる前に。

最初に:セリア。

彼女の前にしゃがんだ。近すぎない距離——侵入なしに状態を見られる距離。セリアの目が俺の動きを追った。それは良い兆候だった。追跡は意識を意味し、処理を意味し、負荷の下にあっても高次機能がまだ作動していることを意味した。

「アルヴェス。立てるか」

まばたきした。一度、二度。それから顎が引き締まった——準備ではなく意志で自分をまとめる人間の表情——そして頷いた。

左手を差し出した。右手ではない。右手はまだ理解していない何かをしていた。理解するまで、他の人間の近くに置きたくなかった。その本能は理性的ではなかった。理性より古い本能だった。

セリアは一瞬俺の手を見た。それから取り、引き起こした。握りは確かだった——ショック状態の人間の握りではなく、すべてに対して適用するのと同じ精度で自分を保っている人間の握り。制御された。意図的な。機能的であることを下回ることを拒否する。

立ち上がるとすぐに手を離した。一歩退いた。二人の間に一歩の距離を置き、それを防壁のように保持した。

「あの人」と彼女が言った。声は安定していた。安定しすぎていた——本当の平静ではなく、能動的な維持の安定。「地面にいた人。何があったの」

答えを計った。真実は:地面にいたものは人間ではなく、しばらく前から人間ではなく、セリアに対して名前をつけられない何かをしようとしていた。俺の手のひらがそれを根本的に敵対的と識別した何かを。その真実は、この廊下でこの瞬間に彼女に届けられるいかなる形式でも利用可能ではなかった。

「分からない」ともう一度言った。「ただ安全ではなかった。あれが何であれ、あれは——」止まった。使おうとしていた言葉は生きていないだった。だがそれも正しくなかった。生きているという言葉が覆わず、死んでいるという言葉が届かない空間に存在していた。ナイの祖母が名前を与えた空間に。

「何だったの?」セリアの目が俺に固定されていた。処理の目——授業で見たことがある、通常の解決方法に抵抗する問題を解こうとしているときの。

「説明の仕方が分からない」

「やってみて」

短い言葉だった。要請ではなく指示。そしてその下に——ずっと奥に、彼女自身おそらく俺に聞こえていると知らない声の層に——別のもの。怒りではなかった。恐怖。自分が理解を構築してきた枠組みの中に存在すべきではないものに遭遇した人間の、特定の恐怖。枠組みと現実の間の隙間に立っていて、その隙間が冷たい。

「人に見えた」と言った。慎重に。一語ずつ配置して。「人の声に聞こえた。だが人ではなかった。あれが何だったかは分からない。ただ、俺の——分かった。何かがおかしかった。怪我ではない。おかしさの種類が——」また止まった。構築するすべての文が手のひらの冷たさに向かい、手のひらの冷たさが灰色の光に向かい、灰色の光がまだ誰とも——まして、光が癒し影が禁忌であり二つの間の灰色の空間に名前がない世界にいるセリア・アルヴェスとは——共有する準備のできていない真実に向かった。

「どういう種類」と彼女は迫った。

「まだ説明できない種類だ」

セリアが俺を見つめた。廊下はとても静かだった。遠く、石壁と閉じた扉に遮られて、夜の学院の日常の音が聞こえた——足音、扉、開いた窓から運ばれる誰かの声。普通の音。今起きたことの向こう側に存在する世界からの音。

「あなたの手」と彼女が言った。

内臓が落ちた。物理的な感覚ではなかった——持っているすべての内部警報の再較正。

「何のことだ」

「何かした。私を引き戻したとき。もう片方の手——掴むのに使わなかった方。何かが出た。光が。灰色の」間を置いた。「見た」

何も言わなかった。事態を悪化させない言葉がなかった。

「私は聖術理論を三年間学んできた」セリアが言った。「聖術、標準的な属性応用、軍用の実戦技術。魔法がどう見えるかは知っている。あらゆる変種、あらゆる色の署名、学院の教科書にあるすべての発現パターンを」論理的構造を組み立てる人間の方法論的な正確さで話していた——煉瓦を一つずつ積み、まだ到達していないが近づいてくるのを感じている結論に向かって。「あなたの手から出たものは、そのどの分類にも入らない。灰色だった。魔法は灰色ではない」

俺のはそうだ、と思った。言わなかった。

「ヴォルン」声がまた変わっていた。恐怖が表面に近くなっていた——圧倒されてはいない、それには程遠い、だが自分で気づいている形で存在していて、抑圧しないことを選んでいた。「何をしたの」

質問は具体的だった。人ではなく行為に向けられていた。より安全な質問——身元ではなく仕組みで答えられる。

「分からない」と言った。「手から何かが出た。それが何か分からない」

「そういう——」止まった。再較正した。外交官が別のアプローチを選んでいた。「見たものは私が学んだどれにも合わない。灰色。動き方。あなたが私より先に知っていた仕方」間を置いた。「何を隠しているの」

何を隠しているの。 あなたは何なのではなかった——まだ。彼女はその質問に近づいていたが、到達していなかった。何を隠しているのかとあなたは何なのかの間の距離は、誰かが秘密を持っていると疑うことと、誰かが秘密そのものだと疑うことの間の距離だった。彼女は最初の閾値にいた。二番目はもっと後に来るだろう。


その質問が、露出していると知らなかった俺の中の何かに当たった。何があったのではなかった。あれは何だったのでもなかった。あなたは何なの。灰色の光と震える手と、彼女より先に姿が危険だと知っていた仕方の中に、彼女は何かを見たかのようだった。俺を再分類する何かを。彼女の心の中で、同じ授業を受けている候補生から枠組みを持たない何かへと移動させる何かを。

口を開いた。閉じた。また開いた。

「お前に怪我をしてほしくない人間だ」と言った。

言える中で最も真実に近いことだった。同時に逸らしでもあり、セリアはそれを知っていて、俺は彼女がそれを知っていることを知っていて、その認識が二人の間に座っていた。床の革のケースのように——もう存在しないこの廊下の版に属する物体として。

セリアが長い間俺の目を見つめていた。目の奥で心の機構が動いているのが見えた——論理的枠組みが経験を分類しようとし、仮説を試し、捨て、新しいものに手を伸ばしている。彼女は物事を未解決のまま放置する種類の人間ではなかった。水が最も低い地点を求めるように解決を求める種類の人間だった——必然的に、本質として、止まるという選択肢なしに。

だが同時に、俺が理解し始めていたことだが、解決が得られないとき、それを知る種類の人間でもあった。分からないという空間に立ち、偽りの確信に崩れ落ちることなくそれを保持できる人間。

「教えてくれないのね」と彼女が言った。非難ではなかった。観察。

「教えられない。教えないことを選んでいるのではなく。お前が求めている答えを持っていないから」

「あなたは分かっていた」と彼女は言った。「私があの——人に手を伸ばす前に。膝をつく前に。何かがおかしいと分かっていた。何かが起きる前に私を掴んだ。どうして」

質問は正確だった。外科的な。俺の行動が通常の候補生のそれから逸脱した正確な点を特定し、そこに圧力をかけていた。

「本能だ」と言った。

その言葉が二人の間に着地し、不十分なまま横たわった。セリアがそれを見た——本能という概念を俺の行動の説明として——そして受け入れないことを決め、同時に異議を唱えないことも決めるのを見た。一時的な休戦。空気の中に引かれた線。これが完全な答えではないことを知っている、そしてあなたが私がそれを知っていることを知っていることも知っている、今はこれ以上追わない、だがこれは終わっていないと告げる線。

「これは報告すべきね」と彼女は言った。転換は意図的だった——個人的なことから手続き的なことへ、解決不能なものから実行可能なものへ。構造への退却。認識できた。俺も同じことをするから。

「ああ」間を置いた。「具体的に何を覚えている」

眉がわずかに寄った。質問に驚いていた——奇妙だからではなく、自分自身の記憶を検査する必要があり、検査して初めて、聞かれるまで気づかなかった何かが明らかになったから。

「廊下を歩いていた。器具を医務室に返すところだった——上層棟で聖術の実習を手伝っていたの。医務室の戸口にあなたがいた。廊下の奥に誰かが倒れているのが見えた。近づいた」間を置いた。「膝をついた。手を伸ばした。そして——」

止まった。目の焦点が一瞬外れた——不注意の焦点外れではなく、協力しない内面の風景を見ている人間の焦点外れ。

「それからあなたが私を引き戻した。そして——光があった。灰色の。あなたの手から。そしてあの人は——動いた。離れていった。消えた」もっとゆっくり話していた。各フレーズが努力で取り出されていた。水の中から物を引き上げるように。「それらの間の詳細が——はっきりしない。近くにいたことは分かる。手に触れそうになったことも分かる。でも——具体的なことが——」

途切れた。眉をひそめた。もう一度試した。

「目が覚めて一時間後に夢を思い出そうとしているみたい。構造はあるけど中身が——薄くなっている」俺を見た。完全な猜疑でもなく完全な恐怖でもない何かで。「これは普通なの? こういうことの後で」

「こういうことの後で何が普通かは分からない」と言った。正直に。「だがショックはそうなる。心が自分を守るために詳細をぼかす。何があったかの形は保つが、質感を手放す」

シャーンの補足テキストで読んだ現象を説明していた——極度のストレスに対する心理的反応、記憶が感情的な固定点を中心に統合され、周辺情報を廃棄する仕方。同時に、気づいていたが、セリアに彼女自身の記憶の隙間を追求せずに受け入れることを可能にする枠組みを提供していた。それが正しい範囲では真実だが、俺の目的にも役立つ枠組み。その二重性が居心地を悪くした。

彼女を管理していた。アルンがブリーフィングを管理するように。父が情報を管理したように——何を明かし、何を伏せ、何を再構成して受け手が壊れずに処理できるようにするかを決めていた。

その認識の不快さが冷たい石のように胸に沈んだ。手のひらの冷たさとは違う冷たさ。他の人間が何を知ることを許されるかを選ぶ人間になることの冷たさ。

セリアが説明を吸収した。自分の体験と照合しているのが見えた——当てはまるか? 隙間はショック処理のように感じるか、それとも別の何かか? 検証は決着がつかなかった。それも見えた。彼女はそれを暫定的に格納した。反証されていないが確認もされていない仮説を研究者が格納するように。

「行かなくちゃ」と彼女は言った。床から革のケースを拾い上げた。中身を確認した——素早く、慣れた仕草。医療備品を管理するよう訓練された人間の習慣。損傷はないようだった。

背筋を正して、もう一度俺を見た。三秒間続く視線。その三秒間で、二人の間の空間で何かが移動した——結論ではなく、理解でもなく、再方向付け。彼女が俺を見る角度の変化。今夜の前は、俺はソーン教官の戦術演習の端に座り、時折予想外に的確なことを言う辺境出身の候補生だった。今夜の後は、彼女が分類できない何かだった。そしてセリア・アルヴェスは、学びつつあったが、分類できないものと安らかに共存しない人間だった。

「ありがとう」と彼女は言った。「引き戻してくれて」

「礼は要らない」

「何が必要で何が必要でないかは自分で分かっている」何かがちらついた——温かさではなく、完全な苛立ちでもなく、二つの間の狭い空間に存在する質。一時的に自律性を上書きされた後に、それを再主張する人間の質。「感謝するのは正確だからよ。あなたが行動して、私は怪我をしなかった。それは認めるに値する」

頷いた。付け加えるものはなかった。

彼女は振り返り、主要通路の方へ廊下を歩いていった。歩みは安定していた。背筋は伸びていた。革のケースを脇に持ち、最初に角を曲がって現れたときと同じ目的のある握りで。すべてが変わり、何も変わらなかった前に。廊下が十分前とは別の場所になる前に。

彼女が去るのを見ていた。角を曲がって見えなくなったとき、廊下にひとりで十秒間立っていた。十五秒。

それから姿がいた場所の床を見た。

何もなかった。跡も、染みも、残った痕も。石はいつもと同じ灰色だった。ここに立っていなければ、何も起きなかったという証拠がないだろう。

だが空気が違った。村の家畜小屋で感じたのと同じ質——存在の記憶が、手が触れた面に温もりを残すように、大気に刻印されていた。何かがここにいた。何かが通過した。石が覚えていなくても、空気は覚えていた。

しゃがんで右の手のひらを床に平らにつけた。手の中の冷たさが石の中の冷たさと出会い、一瞬の——言葉がなかった。対応。同じ周波数の二つの事例が、一瞬同期した。床は俺の手が知っていることを知っていて、一秒間、その知識が共有された。

それから消えた。石はただの石に。手はただの手に。

立ち上がった。もう一度手のひらを見た。見えた線——皮膚の下の灰色の筋、手首の近くで分岐する——はなかった。皮膚に印はなかった。普通。だが線の記憶はインクで描いたように鮮明で、思考の下に住む確信で知っていた。見えたものは幻覚ではなかった。あった。また現れる。

何かが変わった。廊下ではなく、学院ではなく、壁の外で終われないものたちが村を通過し霜のパターンを残す世界でもなく。俺の中で。手の中で。手の中にずっと住んでいて冷たかったものが、今夜初めて、その冷たさで何かをした。

自分がしたことに名前がなかった。灰色の光、脈動、姿を退かせたもの——何と呼べばいいか分からなかった。持っている語彙——魔法、魔術、属性操作——はシャーンが教え、俺が灰色の判定を受けた体系のものだった。これらの言葉は形が違った。違うものを記述していた。

だが別の語彙があった。父の記録の中で出会ったもの。寝台の暗闘で本を顔に近づけて読んだ断片の中のもの。異なる力に異なる言葉を使い、学院の教科書が消去した力の分類を認める語彙。


父の記録から言葉が浮かんだ。手がしたことの名前——あるいはしたかもしれないことの。その言葉が当てはまるか確信がなかった。何についても確信がなかった。その言葉は灰色が手の中に存在するのと同じ仕方で記憶の中に存在していた——存在し、信頼するどのシステムにも名前がなく、重要かもしれず、意味がまったくないことを認める代わりに意味を構築しているだけかもしれない。

押し戻した。それが答えだと確信しているからではなかった。確信がないから、口にすれば——自分に対してですら——間違っていた場合に撤回が難しくなるから。

まだだ。ここではない。通過したものの記憶をまだ空気が保っている廊下では。セリア・アルヴェスが三分前に立って俺に何であるかを聞いた場所では。彼女の質問への答えが、もし読めると知られれば候補生以外の何かにされる言語で書かれている場所では。

医務室のテーブルに残していた包帯のロールを取り上げた。前腕の包帯を巻き終えた。機械的な動作が手を安定させた——物理的な手を。筋肉と骨と皮膚でできた手を。手の中のもう一つのもの、冷たいもの、今夜俺の許可なく俺の理解なく動いたもの——それは安定しなかった。それは今、以前とは違う仕方で覚醒していた。覚醒し、存在し、次に必要とされるときを待っていた。

医務室を出た。廊下を歩いた——左へ、主要通路へ、礼拝堂通路から離れて、姿が去った方角から離れて。ランタンは安定していた。石は普通の仕方で冷たかった。反対方向に歩く二年次候補生とすれ違い、興味なく頷かれ、通り過ぎた。日常の世界が、日常の予定で動いていた。知られていることと知られていないことの間の壁に何かが入ったことに気づかないまま。

第四宿舎に戻った。暖炉の間は空だった。火は消えていた。寝台に上がった——上段、窓際、出口が見えるから選んだ場所——そして横になった。

暗闇の中で右手を上げた。回した。手のひら、指、皮膚の線を見た。皮膚の線でしかないもの。

体は心より先に知る。

俺の体は知っていた。俺の体は動いた。そして今、心が体のしたことに追いつかなければならなかった。二つの間の距離は、今朝まで住んでいた世界と今住んでいる世界の距離で、その距離は大きくはなかったが絶対的で、それを戻ることはできなかった。

手を閉じた。目を閉じた。

冷たさは残った。

眠りの直前——意識とその不在の間の薄い空間で——何かが聞こえた。遠くから。壁の向こう、都市の向こう、農地と街道と森が始まる辺境の向こうから。空気を通じてではなく、手の中に住むものを通じて伝わる音。耳ではなく冷たさ自体が受信した音。遠吠え。低く、持続し、北の闇のどこかから立ち上がる。動物でもなく人間でもなく、両方より古い何かの質を持つ声——聴いていたものが、俺の手がしたことを聞き、応えている声。

遠吠えは消えた。あるいは消えたのではなかった——冷たさが落ち着くように落ち着き、世界の音の基準値に沈んだ。存在しているが前景にはない。手のひらが読むことを学びつつある周波数地図の中の、他の信号に加わる信号。

何が吠えたか知らなかった。だが手は知っていた。そして手は恐れていなかった。


眠りはやがて来た。だが村に夜明けが来たように渋々と来た——到着したとき何を見つけるか確信がないかのように。朝はいつもの鐘で来た。毎日同じ時刻に鳴る同じ鐘が、同じ音を出し、同じ中庭を渡り、同じ窓から入り、同じ体に起きて同じ日課を始めろと告げる。学院に来てから毎朝この鐘を聞いていた。違って聞こえたことは一度もなかった。

今は違って聞こえた。

鐘そのものではない——鐘は鉄と物理と振動で、変わらないし変わりようがなかった。違っていたのは受け取る耳だった。耳の後ろの心。心が住む体に付いている手。窓から入る秋の空気とは関係のない仕方で冷たい手。

服を着た。前腕を確認した——負担は一晩で引き、昼には消えるわずかな圧痛だけが残っていた。包帯はまだあった。ほどき、筋肉を曲げ、機能を確認した。機械的な評価、機械的な確認。維持すべき器具としての体。

右の手のひらを完全に開いたとき、何も見えなかった。皮膚、線、手の普通の地形。灰色の筋はない。分岐するパターンもない。昨夜見た線——表面の下の何かの閃光——は存在しなかったかのように完全に消えていた。

だがそれがあった場所をまだ感じていた。視覚的にではない。物理的にですらない。存在の記憶。家畜小屋の周りの地面がその上を通過したものを覚えていたのと同じように。皮膚が線を覚えていた。空気が火を覚えるように。

手を閉じて朝食に行った。

食堂は満員だった。喧騒、蒸気、皿の音と、覚醒のさまざまな段階にある二百人の候補生の重なり合う会話。ラーシュはいつものテーブルにいて、手振りを交えたブレンとの何かの話をしながら食べていた。ブレンが断続的に笑っていた。トールが隣に座り、黙って、すべてに対して見せる方法論的な集中で食べていた。エヴァンはいなかった——おそらく寝坊。訓練日程が許すときはいつもそうだった。

座った。パンを取り、粥を取り、食べた。食べ物には質感と温度があり、どちらも感知したがどちらも味わわなかった。体が朝食の動作を遂行している間、心は寝台に横たわって最初の二時間眠れなかったときから同じ問いを巡っていた。

俺は何をした。

どうやってした。

また起きるのか。

俺は何だ。

最後の問いはセリアのもので、俺のものではなかった。だがそれは、そこに属するもののしつこさで俺の思考に居座っていた——聞かれるのを待っていた問い。関連する情報に十分近づける人間を誰にも許さないことで、俺がずっと避けてきた問い。彼女がそれを形にした。そして今それは存在していた。声に出され、空気が灰色になった廊下で。形を崩すことはできなかった。

「静かだな」とラーシュが言った。ほぼ毎朝言うことで——実質的に挨拶だった——だが今日は観察の底流が違った。村の話を聞いてからの注意深い質で俺を見ていた。猜疑ではない。心配。ラーシュの心配は決して侵入的ではなかった。周縁部で作動する、踏み込まずに監視する安定した意識。だがそこにあり、俺はそれを意識し、意識することが持っている重さにもう一層を加えた。

「考えごとだ」と言った。

「何の?」

「巡回のことだ」真実。不完全。巡回は昨夜起きたことに繋がっていた。根が木に繋がっている仕方で——地下に、見えないところに、構造的に不可欠なものとして。

ラーシュはそれを受け入れた。ブレンとの会話に戻り、食堂の喧騒が再び石の周りの水のように俺を閉じ、朝食を食べ、何も言わず、朝が続いた。

その日、セリアを二度見た。

一度目は戦術学の教室——ソーン教官の授業、二限——の外の廊下だった。俺は到着するところで、彼女は前の授業から出てくるところだった。リセ・アルンと歩いていた。セリアが自発的に時間を共にする数少ない人間の一人である中堅貴族の娘。二人は話していた——正確には、リセが話し、セリアは完全には必要としないものに与える質の注意で聞いていた。礼儀としての傾聴。表面の傾聴。もっと深い機構を他のことの処理に使えるようにしておく傾聴。

俺を見た。

反応は小さかった。歩みの中の間——完全な停止ではなく、ほんのわずかな減速。廊下の他の候補生を避けるためにペースを調整したと解釈できる程度の。目が俺と合った。およそ一秒間。その一秒間で、目の奥で何かが動いた——ちらつき、再計算、状況の素早い評価(廊下、日中、他の人間がいる、通常の状況、脅威なし)、それに続く応答の決定。

頷いた。正確で計られた頷き——互いを認識しているが特に用事のない候補生同士が交わす種類の。適切。普通。見ている人間が予想する通り。

それから目をそらし歩き続け、その一秒は終わり、廊下はただの廊下で、俺はしばらくそこに立っていた。彼女の目のちらつきの残像を持って——整えられた表面の後ろで動いたもの——そしてそれが何か分かった。

恐怖ではなかった。感謝でもなかった。好奇心ですらなかった。好奇心はその一部ではあったが。

距離の認識だった。体験と理解の間に空間が開いたこと、俺がその空間の中に存在していること、その事実をどう扱えばいいかまだ分からないことへの意識。頷きは仮置きだった——あなたを見ている、何かがあったことを覚えている、まだそこに戻る準備はできていない、だが忘れてはいないと告げる承認。

ソーンの教室に入り、いつもの席に座った——部屋の端、窓際、教官と扉の両方が見える場所。授業は混合地形における防御配置について。ノートを取った。指名されたら答えた。教室にいる候補生の機能を遂行した。

二度目にセリアを見たのは夕方だった。

訓練場と宿舎の間の中庭を横切っていて、彼女は反対側にいた。上層居住棟の入口の近く、一人で立っていた。誰かを待っているのではなかった——思考が軌道を中断したときに人が立ち止まる仕方で立っていた。内部の何かに止められて。

手を見ていた。

両手を腰の高さに前に出し、手のひらを上にして。俺が今朝自分の手のひらを検査したのと同じ仕方で——そこにあるべき何かを探しているか、なぜ何もないのか理解しようとしているか、あるいは単に、今見ている手と、昨夜廊下で持っていた記憶の中の手を、一致させようとしていた。

顔を上げ、中庭の向こうの俺を見た。距離は三十歩——会話には遠すぎ、表情を読むにも遠すぎた。だが姿勢は見えた。手が素早く体の横に落ちるのが見えた——観察されていると気づいたとき、私的な行為の証拠を隠す人間の仕方で。

そして三十歩の距離からでも、中に入る前に俺に向けた視線の質が見えた。二秒間続いた。頷きも、承認も、社交的なプロトコルも含んでいなかった。生だった——未処理、無濾過、その人間の制御機構がそれを捕まえて適切な形に整える前に逃げ出す種類の視線。

その中に、混乱を見た。そして混乱の下に、まだ名前を持たない何か——形成途上の感情、まだ液体で、彼女が認識し分類できる形にはまだ固まっていない。恐怖ではなく感謝でもなく惹かれでもなかった——それらすべてに先行する、もっと根本的なもの。波に先立つ擾乱。もう一人の人間に対する理解の構造の中で何かが移動し、その移動は元に戻せず、移動の結果はまだ分からないという感覚。

彼女が中に入った。中庭に立って、背後で閉じる扉を見ていた。

夕方の空気が冷たかった。普通の冷たさ。秋の冷たさ。これから数週間で冬に深まり、石壁を収縮させ、息を白くし、世界を自らの温もりに向かって引き込む種類の冷たさ。

自分の手を見た。右の手のひら、左の手のひら。右は秋とは関係のない仕方で冷たかった。左はそうではなかった。その非対称は新しかった——あるいはずっとそこにあり、今やっと意識しているだけかもしれなかった。試練場の影を意識し、闇の周波数を意識し、礼拝堂近くの廊下に住んでいた、人の形を着て飢え以外の何でもない飢えでセリアに手を伸ばしたものを意識しているように。

あなたは何なの。

答えを持っていなかった。彼女にも、自分にも。だが問いはもう抽象的ではなかった。重さと場所と、それを聞いた特定の一対の目があり、その目は今、秋の夕暮れの光の中で俺が見ている中庭の向こうの扉の向こう側にあった。二人の間の距離——三十歩、扉、石壁、この学院の中のそれぞれの軌道——はとても現実的で、同時に完全に無関係だった。重要な距離は昨夜暗い廊下で開いたもので、その距離は物理的な空間とは何の関係もなかった。

彼女が俺について知っていることと、俺について真実であることの間の距離。そしてその距離を閉じない日が一日過ぎるごとにそれは大きくなり、大きくなるごとにその重さは増し、俺はそれを持ち続けるだろう。ナイの祖母が他の人間には見えないものの知識を持ったように——責任として、重荷として、俺であるものが存在すべきではないと世界が決めた世界で、俺であることの代価として。

中に入った。暖炉の間には人がいた——ラーシュ、ブレン、マレン、トール、他に数人。喧騒、温かさ、空間と目的と世界の理解を共有する人間たちの普通の摩擦。その理解が、今は知っていたが、不完全であること。彼らはそれが不完全だと知らなかった。その中に快適に住んでいた。魚が水の中に住むように——自分を支えるものに囲まれ、その境界を認知できない。外に出たことがないから。

俺は外に出ていた。昨夜、廊下で、灰色の光が手から出て、俺は境界を越えて向こう側にあるものを見た。戻ることはできなかった。

いつもの場所に座った。影の端の席。グループの縁に位置する席。聞こえるほど近く、観察できるほど遠い。学院の最初の夜にこの席を選んだのは正しいと感じたからだった——縁が俺の居場所だったから。中心はラーシュのような人間のためにあった。温かさと開放性と、十分に努力すれば世界は良いことが起きる場所であるという根本的な仮定で、周りに人を集める人間のための。

その席を疑ったことはなかった。今夜、理解した。


縁は影のある場所だった。そして影は俺が向かいつつある場所かもしれなかった——選択ではなく、本質でもないかもしれず、まだカテゴリーを持たない何かによって。手の冷たさは方角を示唆していた。灰色の光は能力を示唆していた。だが示唆は確信ではなく、父の半壊した本から十分に学んでいた——冷たさが示唆するものとそれが実際に意味するものの間の距離は、理解と壊滅的な誤解の間の距離になり得ることを。

その距離のどちら側にいるか分からなかった。

分かっていたのは、縁がだんだん狭くなっていること、まだその中にいること、朝が来ること、ルーティンを維持すること、問いが答えられないままである限りルーティンが保たれるということだけだった。

それはそう長くないかもしれなかった。

右の手のひらの冷たさがその証拠で、皮膚の下に見た線がその最初の印で、終われないものを退けた灰色の光がその最初の行為で、もっと多くの行為があり、もっと多くの印があり、もっと多くの冷たさがあり、縁は進むほど狭く暗くなり、止まる仕組みがないから進み続けるだろう。

体は心より先に知る。

俺の体は十六年間知っていた。心がやっと追いつき始めたところだった。

ラーシュが暖炉の間の向こうから俺を見て笑った。小さな笑み——内輪の、お前を見ている、何かが起きていることは分かっている、ここにいるという意味のもの。笑い返さなかった。だが目を合わせ、その出会いで十分だった。火が燃え、夜が続き、手のひらの冷たさが続き、上層居住棟のどこかで制御された感情と論理的な枠組みと中庭で検査していた手を持つ女性が自分のベッドに横たわって眠れずにいて、二人の間の距離は広がっていて、俺が持つ沈黙は重くなっていて、朝は同じ時刻に同じ鐘で来て、すべては同じで、何も同じではなく、それが今俺の住む世界の形だった。

それが、形だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。