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4. ツムギの母

ミナト一人では迷い込んでしまうだろう険しい道を通り、山奥へと向かう。

ツムギの足取りから、なじみの道なのだろう。

歩を進めるごとに空気が重くなるのがわかった。

そして、やってきたのは小さな岩の間にある洞窟(どうくつ)


「母様!」

「ツムギ、帰ってくるのが早いじゃないか……」


入り口をくぐると、生活感がある空間の奥に大きな影があった。

洞窟の中は外とは比べないものにならないほどの空気の重さ。

ずんずんと入っていくツムギとは逆に、ミナトは一度息を止めた。

洞窟のかしこに積み石がされていた。

なんとかこの洞窟内にとどめているのだろうが、限界がある。

クラクラと頭が重くなるのを我慢して、顔を上げると、影と目があった。


「客人とは」

「母様ごめんなさい。でも、母様はずっと様子がおかしいし、この人は母様を助けてくれるって」

「私を助ける、ねぇ」


影の目がミナト、いや、正確にはミナトの『核』を見たのがわかった。

この影はわかっているのだ、とミナトは直感的に理解する。

すぐに膝をつき、頭を下げた。


「ミナト、と申します。送り屋をしています」

「…ふふふ、よく来たな。待っていた、のかもしれないが」

「母様、これ。水をとってきました」

「ああ、ありがとう」


ツムギが腰に下げていた竹筒を影に差し出した。

それを受け取り、(あお)る。

やめたほうがいい、という言葉が出かけるが、ミナトは飲み込んだ。

水脈はもう毒されている。

それを、わかっているのに、影は躊躇(ちゅうちょ)無く口に含む。


「ツムギ。私はこの人としばらく話をしようと思う。その間、使いを頼んでもいいか?」

「わかりました、母様」


ツムギは、母と呼ぶ『ソレ』から用件を聞くと、軽い足取りで洞窟を出て行った。

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