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Kings of the Midnight Congregation♛白き虎と輝く亀と迷子の姫たち  作者: 冬月・かおり
Creating Memories 03: 家族の形 ♛ 家族探し
14/15

Part 3



監禁室。ジュウジカ第三秘殿。アストゥリアス・セブのどこか。2011年8月22日午前0時34分


「キメラを解放しろ」昨夜は監禁室のすぐ外で、ひどく慌てた声を耳にした。


「よろしいのですか…!?」また別の不安げな声が聞こえた。


昨夜は厚い壁に閉じ込められていたにもかかわらず、苦痛の叫び声を聞き取った。その叫び声から、この監禁室の外の戦いは一方的で、侵入者側が明らかに優勢であることがわかった。教団の第三秘殿、ジュウジカには厳重な警備が施されていたが、たった三人がそれを破壊しようとしていた。


「私も出る!」父の毅然とした口調ながらも、昨夜は父の声に、どこか不安を感じ取った。





「はい!」宗一郎の部下が唐突に答えた。


「ここから逃げ出さなければ」彼女は心の中で思った。しかし、父の精神的苦痛でまだ衰弱している彼女の胸には奇妙な物体が突き刺さっており、おまけに手足は電動ベッドに縛られたまま。逃げ出したくても逃げられない。


「パ…パパ…」彼女は育ての父に命乞いをするが、無駄だった。第三神殿が現在襲撃を受けている恐怖で、彼の耳は鈍くなっている…いや、そもそも彼は自分の行動を理解するほど正気を失っていたのだ。


父は直属の部下と共に出て行く際、昨夜のことをすっかり忘れて部屋に閉じ込めた…あるいは、重要な実験だったからこそ秘密にしておきたかったのかもしれない。彼女には分からなかった。今、彼女が考えるのは、ここを永遠に去らなければならないということだけだった。問題は、どうやって去るかだった。


*****


他に選択肢がなくなった昨夜は、侵入者たちが自分のいる部屋まで辿り着くのを祈り、そして希望を託した。


…しかし…


「おや~おや~?」その声は情欲に満ちていた…そして、声の主が昨夜の視界に現れるにつれ、侵入者たちが早く自分の部屋まで辿り着いてくれることを、昨夜はますます強く祈った。


「火蛾峰…さん!」昨夜は彼の名前を口にしながら、嫌悪感を隠せなかった。


昨夜の目の前にいる、あの情欲に満ちた瞳は、蒼一郎の従弟であり、昨夜の遠い叔父にあたる人物だった。数年前、父に紹介されて以来、昨夜は彼のことが好きになれなかった。冷たく、良い印象は一度もなかった。成長するにつれ、その冷たさは欲望へと変わり…そして今、彼は目の前にいる…


「やっと二人きりになれたみたい…大好きな姪っ子」 同じ情欲に満ちた声が、彼女の裸の体に貪欲に向けられていた。


「お願い…やめて」 懇願し続ける。しかし、父と同じように、彼女の声は届かなかった…


「家族。学校の友達はこの言葉に様々なものを連想する。かけがえのない愛。守ってくれる盾…なのに、目の前には盾などない。いや…牙だ。私を丸ごと呑み込もうとする狼の牙…』 悩める昨夜の心に、一瞬の思いがよぎった。望んでいた家族はどこへ…? 必要とする守りはどこへ…?


「…存在しない」 己の弱さを呪いながら、そう結論づけた昨夜は、これから降りかかる過酷な運命に身を委ね、目を閉じた。


鏡音が彼の欲望に耽るのに、ほんの数分しかかからなかった。しかし、それは訪れなかった… 希望は持てなかった… だが、焦りが彼女を目を開けさせた。


それは一体何者か… あるいは、目の前にいる何かが、どういうわけか鏡音を動けなくしていた。黒いマントをまとい、顔は影に覆われていた… まるで武術を学び、修行してきたかのようだった。目の前にいるのは、圧倒的な力を持つ者だと彼女は悟った。


次の瞬間、電動ベッドに縛り付けられていた四つの拘束具がすべて切れた。彼女は慌ててベッドから降り、よろめきながら床に倒れ込んだ。冷たい床のせいで、自分の体がむき出しになっていることにすぐに気づいた。しかし、腕と手で陰部を隠すことしかできなかった。


内心は恥ずかしさでいっぱいだったが、それ以上に自己憐憫…無力さへの自己嫌悪…裏切られたという思い…


涙ぐんだ瞳は床に向けられ、恩人を見る勇気はなかった。


まるで床が自分を映し出すかのように、彼女は床を見つめ続けようとしていた…しかし、次の瞬間、まだ温もりの残る黒い服が彼女の体を覆っていた。涙目が彼女の衝撃を消し去った。あの人を見ないわけにはいかない…いや、幾多の恩人となったあの人に、顔を向けずにはいられなかった。


昨夜(マントを失っていた恩人)の目の前には、黒いタートルネックのオーバーオール、その裾から見える黒いスエードのパンツ、そして黒い革靴という、より人間らしい姿が見えていた。この男の横顔で目を引いたのは、顔の描写がない白い仮面だった。透けて見える目穴も、息を吸う鼻穴さえなかった。


昨夜はなぜか、顔のない白い仮面の下の男の顔は見えなかった。しかし、そこに怒り…そしてかすかな悲しみも感じられた。


彼女はマントを胸に抱きしめ、胸に深く刻み込んだ。感謝の気持ちを伝えたかった。


しかし、言葉が口から出てしまう前に…


「ここから立ち去って…」声にも怒りと悲しみが込められていたが、同時に優しさと温かさも感じられた。「ゆけ!」それは、彼女を貶めたり、命令したりするものではなく、ただこの場から立ち去るようにと願うような声だった。


昨夜にはただ、声に従うことしかできなかった。そう言って、彼女は残りの力を振り絞り、その場から逃げ出そうとした。そして息を潜めて…


「ありがとう」。相手が感謝の言葉を聞いたかどうかは分からなかったが、彼女にとってそれは問題ではなかった。いつか、今度は大声で、そして誇らしげにそう言える日が来ると、彼女は心から信じていたからだ。


感極まって涙を流しながら、彼女は十字香教団の第三秘殿を走り去った。


建物と自分の距離を詰めていくと、ようやく建物が燃えているのが見えた。


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