Part 2
家族。多くの人がこの言葉に様々なものを連想するでしょう。かけがえのない愛を連想する人もいれば、危険から身を守る盾と考える人もいます…
でも、もしそれがあなたを守る盾ではなく、牙をむき出す狼の盾だったらどうでしょう…
昨夜にとって、まさにこれが「家族」を表す言葉だったでしょう。
子訪印家。アストゥリアス・セブ。2011年8月21日 日曜日 午前9時35分
昨夜にとって、それはただの普通の日でした。何もすることのない、のんびりとした日曜日。細いクロスストラップとネックラインが特徴的な、ストレッチシルクの黒のタンクトップと、花柄のドローストリングが付いた柔らかな織りコットンのプルオンショーツを履き、ソファに不安そうに座った。
のんびりとした日曜日の朝、彼女は友達と過ごしたかった。しかし、もう一週間、父親が帰ってこない。何かあったのではないかと心配している。
携帯電話のクレジットはすでに6割も減っていて、父親の部下たちからも返事が一つもない。
「次は誰に電話しようかしら?」と彼女は自問した。
連絡先を確認し、スクロールしていくと、電話したくない名前が目に入った。火蛾峰。父親の部下たちの中で、彼女が少しでも気に入らない人物だ。彼は好色な目で彼女を見つめている。
確かに彼らは口をきいていない…いや、彼女が生まれてから何も話していない。しかし、彼女は父親のことを本当に心配している。昨夜には他に選択肢がない。
「火蛾峰さん、お父さんは…」昨夜が父親を呼ぼうとしたその時、玄関のドアがきしむ音を立てて開いた。
昨夜は急いで玄関へ向かうと、そこにはボロボロの服を着て弱り果てた父親が立っていた。
「パパ!」昨夜は肩に力を入れて、さっきまで自分が座っていたソファへと父親を導いた。
「ハハハハハ!」
昨夜はひどく心配していたが、父親はソファに横たわると、ただヒステリックに笑った。
「見つけたぞ」宗一郎と、昨夜の父は静かに言った。
正気を取り戻したと思った矢先、父…いや、宗一郎が貪欲と…純粋な憎悪に満ちた目で昨夜を見つめた。
「母さんに会う時間だ」と彼は言った。
「えっ」昨夜は驚きのあまり、呆然とした。
宗一郎は昨夜の左腕を引っ張った。
「ここはどこだ…」昨夜は痛みを感じながらも平静を装い、どこへ連れて行かれるのか尋ねた。
「母さんに会うためだ…」宗一郎はただその言葉を繰り返す。
十字花第三秘境。セブ州アストゥリアス地方のどこか。2011年8月21日 午後11時23分
家からほんの数ブロック先に廃墟があった。しかし、中に入ると、そこは彼女や近所の人々が思っていたほど廃墟ではなかった。たくさんの人が出入りしている。
そこにいた人々は、宗一郎が無力な少女を建物の中に引きずり込むのを止めようともしない。宗一郎に頭を下げている人もいた。「一体この人たちは誰なんだろう?」と、ある部屋へと引きずられながら、彼女は考え続けた。
ある部屋へと引きずられながら、彼女は見覚えのある動物の檻をいくつか見た。しかし、動物たちはひどく苦しんでいた。「父はここで何をしているのだろう?」と彼女は考え続けた。しかし、今の彼女の頭には、そんな考えはなかった。
宗一郎に案内された部屋に入ると、病院で見かけるような電動ベッドが目に入った。
突然の出来事に茫然としているうちに、父と呼ぶ男に服を脱がされた。ベッド脇に置かれたランプの揺らめきが、咲耶の白い肌を照らしていた。
動きすぎないように、狂ったように拘束された。それだけでは飽き足らず、宗一郎は咲耶に触り始めた。男に体を触られたら、つい声をあげてしまうのが自然だが、咲耶はそうしなかった……。
「うーん……」昨夜は呻いた。快感からか、それとも嫌悪感からか、昨夜自身には分からなかった。父親だから、抵抗する様子もなかった。
父だと思っていた男の目には、欲望は感じられず、彼は昨夜の体を触り続けた。家族の愛を切望していた昨夜にとって、それはそれで良いのかもしれないと思った。
しかし、男の瞳には狂気が宿っていた。その瞳に映るのは、ただ道具…復讐のための道具。
「うーん…うーん…」昨夜は声もなく呻き続けた。
しばらくして、快感は消えた。憧れも消えた。胸に硬いものが押し付けられる、凄まじい痛みだけが残った。銀白色の物体が胸郭を貫くのを感じ、昨夜は血を吐いた。異物の不気味な鼓動が、まるで第二の心臓が移植されたかのように、体内で脈動し続けるのを感じた。身体を拘束されているせいで、父が苦労して胸に押し込んだものを完全には見ることができない。しかし、体はそれを拒絶し続け、痛みは続く…
痛みは続いた…
この完全な狂気の中で、昨夜の心を打ち砕いたのは、彼女が感じる激痛でも、胸の中で脈打ち続ける冷たく不気味な物体の感触でもなかった…いや、傍らで聞こえる狂気の笑い声だった…それは父親の笑い声だった。
彼女の青い瞳に涙が流れ落ちる…まるで心が凍りつくように、痛みはもはや問題ではなく、今すぐにでも、痛みを消し去りたい、全てを終わらせたい…死にたいと思った。
まるで自分の意志を確かめるかのように、彼女の瞳は最後の光景を捉えようとしていた…
…
…
……
爆発!
エンジンが燃料を吸うかのように、アドレナリンが分泌する昨夜は、拘束具が体に残ったまま覚醒を促す。何が起こっているのか分からなかったが、父の部下からの声が聞こえた…意識を伸ばしていれば…耳を澄ませていれば…
「宗一郎さま侵入者が暴れこみました!」 声は緊張し、明らかにパニックになっていた。
「何人入り込んだ。」 穏やかな声ではあるが、昨夜は父の声に苛立ちを感じた。
「さ…」声はまだ信じられない様子で、報告を口にすることができなかったが、父の苛立ちを察して、あからさまに言い終えた。「三人です!」
「な…」昨夜は父の信じられないという表情が聞こえた…厳重に警備された十日教団の神殿に、これほどの数の人間が侵入しようとするとは、彼女自身も疑念を抱いていた。「どことドイツだ…」
「それが…」声はまたためらっているようだった。




