8 お茶ポーションの使い方
私の作ったお茶ポーションは、大きく2つの要素で既存のモノと違ってる。
1つ目は、薬草を荒茶加工していること。
荒茶加工と言うのは、お茶の葉を生の状態から乾燥させた、所謂お茶っ葉(荒茶)にする作業の事だ。
2つ目は、自分の水魔法で出した水で薬草をポーションにしていること。
これに関しては、ある程度水魔法を使える人は、やってると思ってた。
私以外の自作している人も、飲みやすくする為に何らかの工夫はしていると思っていたのだが、そうでもないらしいと言うのが、高橋くんからの情報で判明した。
多分、みんなはもっと下の階層を目指すから、中級ポーションを、手に入れることが出来る。だから、敢えて手を加える必要がなかったんだろうな。
お茶ポーションの場合、私の出した水以外でも効果があるかどうかが不明である。と言う理由が他人に譲っても良いか、の壁になっている。
しばらく考えて、私は高橋くんに条件を伝えた。
「とりあえず、お試しと言うことで少し譲っても良いよ。
ただホントに効くかどうか分からないから、試してもらっても良いかな?」
「分けてもらえるんですか? 何したら良いんですか?」
私は、荒茶加工した薬草に自分の水魔法で出した水を使用するように伝えた。
温度管理に関しては面倒なので、どの種類も水出しのお茶にするように説明した。
荒茶薬草を譲る代わりに、下の階層で採れる樹の実を譲ってもらう約束をした。
りんごとレモン、ゲットだぜ〜!
私は、もしもの時用に持っていた荒茶薬草を高橋くんに渡した。使い方を説明して、結果を教えてもらう為に連絡先を交換したのだった。
高橋くんが再度下層に採りに行ったリンゴもどきとレモンもどきを数個分受け取って帰宅した。
このリンゴもどきとレモンもどきは、実際にスーパーで買えるものと大差ない。買取価格もほぼ同じような金額だ。
ダンジョン産というアドバンテージがないので、ダイバーもあまり採取しない。
私は自分が採取することで、仕入れ価格を無料にしたかった、という節約精神でこの樹の実が欲しかった。
蜂の巣にこの目論見を全て無しにされてしまったのだか、高橋くんが譲ってくれるのなら実質タダだ。
高橋くんは普段もっと下の階層に潜るダイバーなのに、なぜダンジョン蜂に襲われてたのだろう、と、彼に聞いてみたら単なるウッカリだった。
ダンジョン蜂が中級ダイバーでも対応出来ないような魔物ではなくて良かった。それでもやっぱり襲われた
経験はあるんだな〜と、自分が今後、下層に行くかどうか考えたのだった。