6 下の階に行ってみました
数多の投稿の中から見つけて読んで下さり、
ありがとうございます。
あれからお茶ポーションをボトルに入れて、ダンジョンに潜るのが習慣になった。ほとんど水代わりに飲んでいる。お陰で体調も良い。
ケガの心配も減ったので、普段よりも下の階に行ってみることにした。
聞くところによると、下の階、つまり3階は樹の実採取と蜂蜜採取の階らしい。
戦う相手はもちろん虫。
出来れば蜂とは遭遇したくない。
虫は普通のサイズでも出会いたくないのに、ダンジョンサイズは…
ミツバチが10センチくらいある。しかも普通のミツバチに比べて気が荒い。性質はスズメバチ寄りなのだ。
行きたくない、行きたくないけど、樹の実を入れてアップルティー味の、ポーションにしたい。何ならレモンティー味も。オレンジティーも可。
欲望は不快を凌駕するのだ。
階段をゆっくりと降りて3階に向かう。
第一印象は、公園?という感じ。
花もあり、果実のなった木々がある。
下級の薬草もたくさんあり、見た感じちょっとだけ中級の薬草が見える。
薬草だけは、受付の春花ちゃんに頼んで、区別がつくくらいには見比べさせてもらった。
中級と下級の薬草を採取する。
中級が混ざったので、これだけでいつもより換金額が上がるはず、とほくそ笑む。
一回で換金額が上がるということは、潜る回数を減らせる、と言う事だ。
遊んで暮らしたい私には、福音も同然だ。
友達と何処か温泉にでも行こうかな〜とニヤニヤ精算の結果を思い描いていたら、木々の間に蜂の巣を見つけてしまった。
うわあ~見ちゃった〜。
後ろ歩きで後ずさる。顔は蜂の巣に向けたまま。
通常サイズの蜂なら、養蜂とか蜂の巣退治の便利屋さんを参考になんとかするのだけれど、どう対応するのか全く思い浮かばない。
蜂に見つからないことを祈りながら、スゴスゴと逃げ帰ったのでした。
息を殺しながら、なんとか2階にたどり着いた私が深く息を吐いたその時。
「うわあ~」と大声が聞こえた。
目をやると、明らかに蜂に襲われている若い男の子。
「目をつぶって口と鼻ふさいで」と彼に声をかけた。
慌てて背中の荷物から殺虫剤を出して、男の子に向かってスプレーしまくる。
サイズが違うので、効くかどうか心配だったけどひとまず蜂はいなくなった。
男の子は蜂に刺されていて、ところどころ腫れていた上に私が殺虫剤をふりかけたので、息も絶え絶えだった。
予備に持ってるお茶ポーションのボトルを彼の頭からドボドボかけると、時間を巻き戻したようにケガが治った。刺された場所はまだ少し赤かったので、念入りに
お茶ポーションをかけて洗う。
毒素が残ってたら心配なので、ボトルの残りのポーションを飲ませる。
「大丈夫?痛いところはない?」
「え、ええっ?ダンジョン蜂に襲われたのに、痛くないです。なんで?」
と、彼は自分の身体や顔をペタペタ触って確かめていた。
ダンジョン蜂について、書き足しました。
>しかも普通のミツバチに比べて気が荒い。性質はスズメバチ寄りなのだ。