5 ポーションを美味しくしたい
それにしても目薬とは言え、これほどマズくては困る。
次に使うのを、躊躇してしまう。
傷口にかけるのは出来ても、飲むのは無理かも。
命がかかってる場合以外は。
そのくらいマズい。
この苦さをマシにしたい。
と言うことで、しばらく薬草採取を優先して味の改良をしようと思う。
毎日少量の薬草を取ってきては、色々やり方を変えて試してみた。
ここ数日で分かってきたのは、薬草を煮出す際に沸騰しない温度を保つと、苦みが減ると言う事だ。
玉露を煎れるように、と言うところで、先に薬草を煎茶のように処理してみることにした。
薬草を蒸して冷やして、ホットプレートで乾燥させてみる。
水分の減ったところでモミモミ。乾燥とモミモミを繰り返して、最後にまた乾燥。
出来上がったら、適量を急須に入れて、低めの温度のお湯(自分で出した水を沸かした)を淹れて蒸らす。
あら、これお茶だわ。
苦味と甘味の微妙なバランス。
あとくち、スッキリ。
これ、薬草を発酵させたら烏龍茶風味とか紅茶風味とかになるんだろうか?
これはやってみたい!
で、乾燥が時間を取る上に面倒なので、水魔法を逆バージョンで乾燥に使えないかやってみる。水を操ることができるんなら、きっとものから水分を抜くことも出来るはず!私の切実さとイメージが多分ものすごく伝わったのだろう。
乾燥は出来た。
触るとサラサラと粉になって崩れるくらいに。
魔力の回復と、適度な乾燥を使えるようになるのに、数日を要したが、無事に水魔法も上達した。
一応、お茶風味薬草、各種は出来上がったけどポーションとしての効能があるかが問題。
これ、試すのはやっぱり自分しかいないよね?
料理なら味見で終了なのに、医薬品なので自分で試すほか無い、と言うのが切実に悲しい…
とりあえずダンジョンに行って通常の激マズポーションと自作のお茶ポーションをカバンから出す。
消毒したナイフで指先をちょっとだけ切る。うん、普通に痛いです。
お茶ポーションを指先にかける。
一瞬で治る。
これ以上大きい傷を作るのが躊躇われたので、検証を終える。
私が潜る浅い層で、これ以上の効果が必要なはずはない。
効能はある、と言うことが分かったので後は味の追求だけれど、これはもう作成を重ねてコツを掴む以外には無いと思う。
所詮は素人が作る家庭の味なのだ。
この2週間ほど、何度もポーションの味見をしていた所為かやたらとお肌の調子がいい。こころなしかキメも細かくなった気がする。
夫が生きていたら、気のせい気のせい、と突っ込まれただろうが。
もうちょっとダンジョンで試して、ホントに効くようなら、娘のところにもおすそ分けに行こう、孫の常備薬に、等と殊勝にも考えたのだった。
ちなみに娘は近所に住んでるが、息子はちょっと遠いので、こんな時には常に後回しにされる。
娘よりレスポンスが遅いのも、きっと要因の一つだと思う。
水魔法の使い方に関して、ちょっとだけ書き足しました。
水を操ることができるんなら、きっとものから水分を抜くことも出来るはず!の一文です。