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おばちゃんダイバーは浅い層で頑張ります  作者: きむらきむこ
ポーションメーカー

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 ペットボトル

 「こっちの方も飲んでみる?」


「検証するようにって言われたからには、試さないと」と吉田さんが言った。「確かに」とみんなで頷きあった。


 私はペットボトルを手にとって、分析表のラベルを読んだ。

「薬草成分 水魔法 回復魔法」と、瓶と同じだが、水魔法と回復魔法の割合がこちらの方が多い。


「これ、薬草成分を水魔法の水でお茶にしてるんじゃないですか?」と気になったことを言ってみた。


 池田さんが、ペットボトルを手に取りながら「そうかも。良い所に気がついたね」と言ってくれた。


「それじゃ、お茶っ葉の方を水魔法で淹れてみたら、どう違いが出るか確認しましょう」と藤田が言ったので、私たちは水魔法の得意な中村さんを見た。


「分かったよ。やるからそんなに圧かけないで」と気弱な中村さんが慌てて言った。中村さんはこの部署では最年長なのだが、リーダーシップを取る性格にないため、池田さんがチーフとなっている。


 中村さんが出した水を少し火にかけて、沸騰しない程度に温めた。煎茶を淹れる感覚でポーション作るって、なんか違うような気がすると首を捻りながら洗った急須にお茶っ葉とお湯を入れた。


 みんなで再度飲んでみたが、うん、やっぱりお茶だ。


「ケガ、治るのよね?ポーションなんだから」という池田さんの一言で、実験することになった。心が痛むんだけど、マウスに傷口を作りポーションをかける。


 コレ、凄くない?あの味でこの効き目。薬草は初級のヤツ使ってるのに!!


「初級の薬草で、これだけ簡単に傷口が塞がるって、段階的にもう少し実験が必要ですね」と言うことで、実証実験に取り掛かった。




 数日後、高瀬部長から「先日のお茶ポーションの製作販売を我が社が請け負うことになったので、近く研修会があります。参加するように」という趣旨の話があった。


「作り方はなんとなく分かるし、やってみたけどあの効き目程にはならないんですよね」「作り方、教えてもらえるの?」


 あのポーションを受け取ってから、私たちはなんとかあの効き目を再現したいのだが、出来ないでいた。


「うちであれ作ることになるって、どの程度まで再現できるんだろう」と、割と不安を抱えつつ、研修当日となった。



 研修はダンジョン省で行われた。広めのお料理教室みたいな場所で、小塚商会の私たちだけでなく、他部署の顔見知りや、全く知らない人たちが沢山いた。


 アレを作った人から指導を受けるのだと思うと、私を含め周りが緊張しているのが良く分かった。アレは本当に私たちポーションメーカーを驚かせたのだ。


 一段高くなった壇上に、手元を映すカメラやホットプレート、包丁にまな板等が用意されていた。緊張とは裏腹に、調理実習でもするかのような品揃えに抑えきれない笑いが出てきた時だった。


 初老、と言うか私の母くらいの年頃のぽっちゃりした女の人が、ダンジョン省の職員らしい人と、壇上に上がってきた。





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