12 相談
高橋くんとダンジョン受付で会った。
荒茶薬草各種とアンケート用紙を渡し、記入をお願いする。
どんなふうに飲んでるのか聞いてみると、毎日一人一本(ペットボトル600ミリ)を支給し、開封したら飲み切るようにしてるという、普通のペットボトルの扱いと同じだった。
食中毒の原因にもなりかねないので、そのまま続けてもらうようにお願いする。
パーティ内に火魔法を使える人がいるので、ペットボトルの殺菌消毒も出来るらしい。便利だと思うけど、ファンタジーっぽくないよね。
浄化、じゃないんだ。
浄化は言ってみれば、ドロップスキルになるそうだ。
高橋くんたちはまだ手に入れてないらしい。
「田中さん、前に会った時と感じが違いますね」と言われた。
「え?そう?いつもと同じにしてるんだけど、なんか変?」
「田中さん、なんか若返ってません?」と受付の春花ちゃんが言った。「有紗ちゃんの家に遊びに行ってた頃みたいな感じになってますけど」
ちなみに有紗は娘の名前である。
「あら、ありがとう♥ お世辞でも嬉しいわ」と普通に返したのだが、
高橋くんも春花ちゃんも、若返ったと強く主張する。
この間からポーションを家でも飲んでるのと、ポーション化粧水の残りでお手入れしてるから、その所為かもしれないのではっきり返事できない。
ポーション化粧水のお陰なら、こっちの方も需要が…
娘にもモニターを頼まねば!
丁度、息子からチャットアプリで連絡が入ったので、その場を辞して帰宅した。
息子はたまたま明日出張で近隣県に来るとの事だったので、夜はうちに泊まるようにしてもらった。
息子が泊まる部屋の用意をしながら、明日の夜に確認したい事柄を頭の中でチェックした。後で抜けない用にメモしないと。
あ、それから娘にも明日の夜来れるか、聞いとこう。
明日は金曜だし、明後日のほうがゆっくり話できるかな。
ふたり一緒に話聞いてもらって、化粧水のモニターも頼まないと。
やる事がたくさんあるけど、それも全部、特許取れるかどうか、にかかってるからなぁ。まずは、食事の買い出しに行こうっと。何食べさせようかな。
そして翌々日の午前10時。
私は娘と息子2人を目の前に、用意した荒茶薬草を見せながら話しだした。
「まずは彰良に、ダンジョンで使うポーションの特許を取れるか聞きたいの」
「ダンジョン関連の特許は、まだ今のところ企業が中心だから、個人でっていうのは聞いたことないなぁ」
「このお茶っ葉みたいなのを登録したいの?」
「私が作ったポーションの素なんだけど、これと同じようなモノが無いか確認したいのよ」
言いながら、私は荒茶薬草をいつものようにポーションにした。
「飲んでみて」
ポーションの不味さを知っている2人は、躊躇った。




