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ねこ

ネコ ショートしょーと

作者: あきはる

「ねーお母さん、ばぁばったらまたご飯ひっくり返しちゃってるよー。」

またか、といった面持ちでキッチンにいる私に娘が声をかけてきた。

「あらあらお義母さん、またですか。」

こちらも慣れた調子で言い返す。そして多少の皮肉も込めてつぶやいた。「やっぱり私の作ったご飯は嫌みたいですね。」

 そんな私に解る解ると言わんばかりに、「お父さんの前だとひっくり返さないのにねー。あー、今度は洗濯物ひっくり返してるよー。」娘はお手上げといった所作をした。

「あらあら、たいへん。すぐ片しますね。」この程度、なんてことはない。そんな私の心情を察したかの様に、「だけどお母さん、ホント怒らなくなったねー。前は何か言われたりする度イライラしまくってたのにー。」と娘は安堵したかのようにため息をこぼした。

そりゃあねぇ。

「そういえばお隣さんも前はひどいストレスで一時は入院かっていってたのにすっかり良くなったよねー。」

右隣には5年ほど前に建て替えられた二世帯住居があり、先程近所のスーパーで見違えるように明るくなった様子で会ったのだ。

「あそこのお姑さんもキツい方だったからねぇ。おかげ様で前は二人で愚痴の言い合いだったのが、今はネコ談義に花を咲かすようになったわぁ。」そんな本音をこっそり娘だけに囁いた。そんな私に娘も囁き返す。

「まさか人間が歳をとって介護が必要になるとネコ化できるようになるだなんてスッゴイ事考えたよねー。」

可愛い猫ちゃん相手なら何されても怒れないわよねぇ。

そしてほぼ同時に吐露した。

いやー、世の中平和になったもんよねー。

本当に、有難い話だわあ。


かくして、介護問題も嫁姑問題も解決した。


猫は世界を救う。

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