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多元世界の冒険者

作者: 人形

こんにちは。作品ほぼ初投稿の初心者です、まずは短編からと思い書きました。よければ感想を落としていっていただけると幸いです。

今日は俺の仕事を紹介していきたいと思う。

まずは自己紹介といかせてもらう。

俺の名はヘブリー、多元世界の冒険者だ。


これを覗き見ているあんたたちからすると、多元世界とはどういったものかと疑問に感じているはずだ。


俺たちが住むこの世界は、ある種族からしたらユートピア、ある種族からしたらディストピア。

数多ある根源から種族が産まれる、種族多き多元の世界。

名をマルピアゥス。


そんな世界で俺は冒険者をしている。

前述した通り俺らの世界は、非常に種族が多い。

故に多種族共存社会といった形態をとっている。

そんな社会だから、仕事の内容も様々だ。

一般的には食えないと認識されているものを、食べ物として取ってきてほしいとか。

旅行をするので、卵の護衛をして欲しいだとか。

非常に多種多様だ。


そんな多種多様な仕事の中で俺が今日する仕事は、ブラッドエイプの男性からの依頼だ。

内容は血が溜まってきたため発散の狩りに、付き合ってほしいというもの。


おっと説明していたら、いつのまにか依頼主の家についたようだ。


依頼主に到着を知らせるため岩戸を叩く。

すると、血のように赤い毛に包まれたやや小さい人のようなものが岩戸から覗いてきた。


「冒険者の方ですかな?」

血猿が質問してくる。

こういう時は冒険者カードを見せるのが冒険者の常識だ。


「依頼主はあんたで間違いないか?」

カードを見せながら問いかける。


「ええ、間違いありません。儂が依頼主です。

ささ、こんな所ではなんですからこちらへ」

「ああ、お邪魔させてもらうぜ」


岩戸を潜ると、赤く塗られた石造りの家具がある。赤いがおどろおどろしさはなく、それが自然と感じられるまるで魔法のような感覚に陥る。

おそらくデコレフの職人の業だろう。


「今回は狩りの付き合いという依頼だったが、俺はどういった付き合い方をすればいいんだ?普通の狩りって訳じゃないんだろ?」


「ええ、狂血状態の儂が魔獣と戦いますので、危なくなったら、力尽くでも止めてもらうといった感じですな」

ごく当然といった風にブラッドエイプの老人が述べた。


「それは、あんたと全力で戦う可能性もあるってことか?」

やや困惑気味に尋ねる。


「ええ、狂血状態になると見境が無くなってしまいますので、だからといって発散には狂血状態である必要がある。ですので、大変だとは思いますが、よろしくお願いしたい」


「まあ、仕事だしそれはいいんだが」

んな訳あるかよ、また面倒な仕事を引き当てちまった。


「左様ですか。いやぁ今から血が滾りますわい。

貴方中々いい身体をしてらっしゃる、強さの等級は銀といったところではないですかな?いやぁ楽しみですなぁ!」


うるせぇよこのジジィ。戦闘狂じゃねえか!

これはマジで仕事選びミスった可能性があるな、


場所は変わって森の中

鬱蒼とした原生林の様な森に、数多くの危険な気配を感じる。

所々クレーターの様な大きな魔獣の足跡がある。

俺は憂鬱感に浸りながら、トコトコと爺さんと適当な獲物を探しながら森の中を進んでいた。


「爺さん。あんた今までも同じ様に依頼してきたのか?」


「いや、今年からですな。今年の初めに腰をやりましてね、やはり老いには勝てませんなぁ」


「なるほどな、なら少しは楽出来そうだぜ。あんた相当やりそうだしな」


「いやいや、若い者には敵いませんよ」


嘘つけよ、見たところ今でも金級下位ぐらいの実力はある。全盛期なら王級銅位、国の騎士団と個人でタイマン張れる実力だぜ。


しばらくすると蟻熊の群れを見つけた。


「爺さん、獲物見つけたぜ」


「ほほう、蟻熊ですか。蟻熊は硬くて屈強、集団としての力もある。やり甲斐がありますなぁ」


「早速いくか。狂血状態っていうのになるんだろ?いつなるんだ」


「それはもちろん今ですな」

血猿は満面の笑みで言った。


瞬感、爺さんから血が噴き出したかと思うと、次の間には血が収束し赤い人型が出来ていた。

そこから形態が変化し、腕は三又の槍へ、身体は二回りも大きくなり、あっという間に赤い巨猿が出来上がった。


「グルウォォォオオオオオ!!!」

血の巨猿が咆哮をあげ、蟻熊に突撃する。


「おいおい、やっぱ俺要らないだろこれ。全盛期なら王級銅位とか思ってたが訂正だこりゃ王級銀位でもおかしくねえ。やべえ仕事引いちまったぜ!こりゃぁ骨が折れそうだ!」

へへっ、面倒だと思っていたが楽しんじまってる俺がいる。俺もまた冒険者の一人だってことか、全く嫌になるぜ。早速仕事といきましょうかね。


一方その頃、ブラッドエイプの老人こと赤い巨猿は、恐ろしい速度で植物が生い茂る森を、木々を薙ぎ倒しながら猛進していた。

そして蟻熊の群れに、接近した瞬感。血でできた三又の槍を上に振り上げ、地面に叩きつけた。

叩きつけられた地点から、赤い亀裂が蟻熊まで伸び、到達した瞬間、無数の赤い槍が亀裂から生えてきた。

蟻熊の群れは今の一撃で、体を下から貫かれ、あっという間に大量の蟻熊の串刺し死体が出来上がった。

それは、戦場に例えるならば、兵士の頭が飾られた槍が、至る所に突き立っている感じである。


「あの爺さん、やっぱアビリティを持ってやがったか。どう止めるか、ますます悩みどころだな」


赤い巨猿が蟻熊と戦闘を始めてから10分が経過した頃、赤い巨猿の動きが露骨に悪くなった。どこか腰を気にしながら、段々と体勢を腰が痛まない様なものへと変えていく。


「そろそろ潮時か。タレント発動 軽薄な天使」


ヘブリーの体が白く輝き、次の瞬間には、右手に飾りも何もない純白の短剣が握られていた。

赤い巨猿が異様な気配に気付いたのか、ヘブリーの方向へ身体を向ける。

ヘブリーが、純白の短剣を天に掲げたその時。

空から一筋の光が赤い巨猿へと当てられ、それは段々一から十へ、十から百へと数を増やしていき。

最終的に赤い巨猿が見えなくなるほどの光量を発しながら、収束した。

しばらくすると、赤い巨猿は元のブラッドエイプの老人の姿に戻っており、気を失っている様だ。

蟻熊は度重なる戦闘に加え突然の、異常な事態に怯えたのか、いつのまにか居なくなっていた。


「すまねえな爺さん戦ってやれなくて、あんたと俺じゃ相性がちと悪かった。これでも金級上位、まあタレントのおかげだがな」

ヘブリーは、気を失った老人を背に担ぎ、老人の家に向かった。


今日もヘブリーは仕事をこなした。

きっとどんな仕事でもこなしてみせるだろう。

多元世界の冒険者の一日は今日もまた過ぎていく。

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