7 重い心。
戦が近いという噂が流れても、兵士や役人たちがあわただしく働いていても、佐知子たちの仕事は、生活は、変わらない。
佐知子は次の日の朝も、寝不足で重い頭と体で同じように仕事をこなした。
そして、少し憂鬱になりながら朝食を食べていて気付く、
(あ……午後の勉強の時、ヨウに……会え……る?)
パッと、暗いもやもやが晴れたようだった。
会える、会える、会えるかもしれない……! 忙しいから来ないかもしれないけど……。
佐知子の胸が高鳴る。ご飯が一気に美味しく感じた。気の持ちようは恐ろしい。佐知子は少しおかしくて、ふっと笑った。
仮眠の床には就いたが、何度も寝返りを打って、待ちきれなくて、そわそわして眠れなかった。
会ったら何を話そう。
そんなことを考える。
本当に戦はあるのか、ヨウは戦に行くのか、危険なのか、無事に帰ってきて――。
「…………」
佐知子の瞳に陰が落ちた。また、胸に重苦しいものがのしかかる。
その時、昼の鐘がなった。轟音が鳴り響く。佐知子はゆっくりと起き上がった。




