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神様の外交官  作者: 山下小枝子
第一部 第四章

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9 天才、セロ様。

「で? 後は何が知りたい?」

「あ! えっと……後は……」


 佐知子は聞きたいことを考える。何かなかったか……そしてあることを思い出した。


「あの、国事部とかって……なんですか? あと、ヨウのしてる仕事とか、長官とか副長官とか……皆さんの立場を知りたいです」

「ああ、そんなことか~」


 セロは軽く笑いながら地図を丸め、説明する。


「この村は一応、独立した村なんだ。どこにも属さない。だから一応、政府がある。共同代表はハーシムさんと黄さん。で、四つの部署があって、国事部、軍事部、医学部、科学技術部があるんだけど、それぞれ長官、副長官、その下に書記官が沢山いるわけ。で、国事部の長官はハーシムさん。軍事部の長官が黄さん、副長官がヨウ。医学部の長官がカーシャさん、副長官がトトくん。で、科学技術部の長官がボクってわけ。ちなみにボクは、こう見えても天才科学者だからね!」


 ふん! と、息を吐きながら丸めた地図をポンと片手に打ち当て、得意げにセロは胸を張った。


「え……そうなんですか……?」


 きょとんとしてしまう佐知子。


「そうだよ~! こう見えてもフラーウム王国の大学十歳で卒業したんだから~!」

「は……?」

「ね? 天才でしょ?」


 セロはにっこり笑う。


「は!? 十歳!?」


 佐知子は叫んだ。


「そうだよ~」


 セロは自慢げに、にやにやとしていた。


「十歳で大学卒業したんですか!?」

「うん!」

「は~……」

(だからちょっとアレなのか……)


 佐知子は最後の言葉は心の中に留めて置いた。


「そんな感じ。これで終わり?」

「そう……ですね、大体、分かりました……あとは、ここの言葉……あ、ちなみにこの言葉って何語なんですか?」


 佐知子は書記官に渡された二枚のアラビア文字に似た文字を指す。


「これはアズラク語。ここはアズラク帝国が近いからアズラク語を使ってるよ。ちなみにさっきの地図の言葉はフラーウム語ね。アズラク帝国はアズラク語、エウペ王国はラトゥム語、ホン国はホン語、フラーウム王国はフラーウム語を使ってるよ。今度それぞれ書いてあげるよ」


 その言葉に佐知子は疑問を覚える。まさかと思い、恐る恐る聞いた。


「……セロさん……全部書けるんです……か?」


 セロは、にしっと人の悪い笑みをした。


「もちろん! 天才だよ? 四ヵ国語といくつかの少数民族語をマスターしてるよ!」


 そう言い終わると腰に手を置き、あっはっは! と自慢げに笑った。


(ほんとに天才だった……)


 ようやくセロが天才だという事実を佐知子は痛感して受け入れた。


「じゃあ、あとはアズラク語の勉強だけかな……」


 イスにギシっと音をたてながらセロは座ると、テーブルに両肘をつき、両手を組み、その上に顎を乗せながら、佐知子をじっと見つめた。


「そ、そうですね……でも、それは毎日、少しずつでかまわないんで……」

「だよね……じゃあ……」


 セロはにっこりと笑った。


 黙っていれば王子様のようなセロに真正面から微笑まれると、赤面して逃げ出したくなるものがある……と、佐知子は少し頬を赤くする。


「サッちゃんの国のことを教えてもらおうかなぁ~~!!」


 しかしセロは両手を上げながら、子供のような笑顔でほほえみそう叫んだ。


(これさえなければなぁ……)


 そう思いながら佐知子は苦笑いをして、これから来るであろう、質問攻めに今からげんなりするのであった。

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