表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様の外交官  作者: 山下小枝子
第一部 第四章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

56/267

8 この世界、ヒラールアルド。

「じゃあ、まずはこの世界のことを話そうか。確かこの辺に世界地図が……」


 そう言って、セロは立ち上がりごそごそと物の山を漁る。そして出してきたのは、丸められた少し大きめの洋紙皮だった。セロと佐知子の間の机の上でそれを広げる。


「これがこの世界、あ~……アズラク語だと、ヒラールアルドだよ」


 広げられた洋紙皮に描かれていたのは、三日月の形をした大地だった。


 洋紙皮には、大きくC型の三日月の大地が描かれ、山や川、砂漠が絵で描かれている。おそらく赤道のような赤い線もあった。


 後はまたもや佐知子には読めないが、先程の当番表のアラビア文字に似た言葉とは違う言葉で、沢山の地名や、海の名前などが書かれている。


「これが……この世界……ヒラールアルドって言うんですね」

「うん。で、この世界には……まぁ、大きく分けて四つの国がある。一つ目は、アズラク帝国」


 セロが三日月の中心の辺り、海岸沿いを指差した。そこには少し大きめに文字が書いてある。


「二つ目は、エウペ王国」


 今度はその反対側の海岸沿いを指さした。そこにも大きめの文字があった。


「三つ目は、ホン国」


 今度は少し離れたその上の、弧を描いた部分。そこにも同じように大きめの文字。


「そして四つ目、フラーウム王国」


 そして最後に指を下に大きくずらし、反対側の弧を描いている内側、海岸沿いの大きめの文字を指差した。


「ちなみに今、僕たちがいるアスワド村はここら辺だよ。一応、アズラク帝国の領土内。まぁ、辺境だから統治されてないけどね。抵抗してるし」


 セロが指差したのは、アズラク帝国とホン国の中間の、砂漠の絵が描かれた場所だった。


(……こんなにしっかりした世界だったんだ……)


 佐知子は世界地図を見て、呆然とする。


「ちなみに僕は、フラーウム王国出身。ハーシムさんはアズラク帝国。黄さんはホン国。カーシャさんとトトくんはエウペ王国だよ。まぁ、人種で大体分かるね。この村は特殊でごっちゃだけど、アズラク帝国が近いからそれでもアズラク人がやっぱり多いかな」

「あ……そうなんですか……」

(やっぱりこの世界も、国で人種が大体別れてるんだなぁ……)


 佐知子は呆然としたまま、世界地図を食い入るように見た。



 これが、今、自分がいる世界。

 思ったよりもしっかりとした大きな世界だった。


 しかも自分がいるのは、大きな四つの国ではない、小さな辺境の村だった。


 先程まで世界の中心のように感じていたこの村が、自分の知っているこの村が、世界が、何だかちっぽけに感じる。



 佐知子はそんなことを感じていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ