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神様の外交官  作者: 山下小枝子
第一部 第四章

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2-1 セロからの質問攻め。

「さ! 入って!! 入って!!」


 開けっ放しだった扉から昨夜入った部屋へ入ると、セロはやっと、きつく握った佐知子の手首を放して、自分のイスへと向かった。


 明るい時に見るセロの部屋は、暗い時に見るよりもはっきりと色々な物が見えて、余計にこの部屋は物が至る所に放置された、混沌とした散らかった部屋だということがわかった。


「セ、セロさん……ここって何の部屋なんですか?」


 佐知子はセロの向かいのイスに座りながらおずおずとたずねてみる。


「ん? ボクの研究室だよ?」

「え……」


 すると予想外……いや、納得のいく答えが返ってきた。


「そうなんですか……」

「うん。最初はみんなと同じ部屋で仕事してたんだけど追い出されちゃってね。部屋一つもらっちゃった。ラッキーだよね」

「…………」


 何とも言えずにに佐知子が苦笑いしていると、


「そんなことより!! これね!! サッちゃんのせーらーふく? 悪いと思ったんだけど、裏側の一部ちょっと切らせてもらって顕微鏡で見たんだけど、見たことない繊維なんだよ! これ何でできてるの!?」


 太陽光を当てながら、少し大きな顕微鏡でセーラー服の生地を見ていたセロは顕微鏡から目を離すと、佐知子の前に両手をバン! とつき、瞳を輝かせながら聞いてきた。


「え……えっと……何だっけ、多分、綿とポリエステルとか、レーヨンもはいってるのかな?」

「ぽりえすてるとれーよんって、なに!」

「…………」


 セロの瞳はキラキラと輝いていた。


「か、化学繊維? かな?」


 自信なく佐知子が目を反らしながら答えると、


「かがくせんいって、何!?」

「…………」


 あんたは、何々攻撃をする子供か。と、思った佐知子だが、異世界の物だもの、知らなくて当然か。と、思い直し、出来るだけ答えることにした。


「えーっと、確か……石油から出来てるのかな? 私もよくわからないんですが……」

「せきゆって、なに!」

「……地下を掘って湧き出る燃料……みたいな物です……」

「燃料が生地になるの!? え!! なんで!!」

「んー……なんでだろう~? すみません、私にはわかりません。間違ってるかも」

「あー! わからないのかー!!」


 セロは頭を抱えた。


「まぁ、いいや。じゃあ次ね」


 しかし、セロは切り返しが早かった。


「これ、このぼーるぺん? っていうの? これ、この透明なの、材質、なに? これガラスじゃないよね?」

「あ、それはプラスチックです」

「ぷらすちっく? って?」

「えっと……確かそれも石油からできてるような……」

「は? せきゆってなんなの!?」


(そう言われると確かに石油ってすごいなぁ……)


 のんびりと佐知子がそう考えていると、


「セロ!!」


 バタン! と、壊れんばかりの勢いで木製の扉が開いた。


 佐知子が驚いて扉の先を見ると、そこには、


「お前、なに朝から無理矢理サチコ連れてってんだ!」


 物凄い剣幕でこちらへと歩いてくるヨウがいた。

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