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神様の外交官  作者: 山下小枝子
第一部 第三章

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17 連れてこられたのは……。

「あ……サチコ……このあと……ちょっと時間まだあるか……」


 金貨を受け取った後、カンラについていたポケットに佐知子がしまうと、ヨウは少し躊躇いながら佐知子に聞いてきた。


「え? うん……まぁ、大丈夫だと思うけど……使用人小屋って門限とかあるのかな?」

「……俺も詳しくはないが、多分、ないと思うが……」

「じゃあ、大丈夫だよ」


 佐知子は、ほほえんで答える。

 その笑顔にヨウは、ぐっと言葉を詰まらせる。


「じゃあ……ちょっと、来てくれ……」

「うん……」


 どこにとは言われず、歩き出したヨウについていく佐知子。


 食堂を通り、いつの間にか肌寒くなった外に出て、馬小屋やらくだ小屋の脇を通り、向かいの建物に入った。


 中に入ると佐知子は驚いて立ち止まり、体が強張った。


 使用人小屋と同じ、壁に据え付けられた簡素なオレンジ色のオイルランプの中照らし出されたのは、大量の二段ベッドにいる男達……男だらけで騒がしく、中の軍人たちも、突然入ってきた女の佐知子を見ている。しかし、連れてきたのがヨウだと分かると、敬礼して、余計な詮索や、茶化しはしなかった。高官の立場は強い。


 そのまま壁沿いに廊下を直進すると、徐々に雰囲気も落ち着いてきた。どうやらここは兵舎らしかった。そして、入口付近から遠ざかるにつれ立場が上がるようだ。


 ヨウの部屋は一番突きあたりの並びだった。扉は木で出来ており、ヨウに続いて中に入る。

 部屋の中は真っ暗だった。佐知子は少し緊張する。


 扉の後に布がかけられており、それを避けて中に入ると、ちょっと待ってろ。と、声をかけられる。ヨウが慣れた手つきで壁に数箇所かかっているアズラクランプに明かりを灯す。明かりを点けると様々なガラスを通した光に照らされ、中の様子が分かった。


 部屋は真っ白な漆喰を塗った部屋だった。床には絨毯が敷きつめられている。革のサンダルを入口付近で脱いで上がる。


 中には鉄と植物の蔓で出来たベッドに布団が敷かれていた。その他には武器類が壁に立てかけられ、手入れ道具もそばに置かれている。使用人小屋と同じように壁に空いた空間が二つほどあり、そこに服や物を置いているようだった。そして、窓が二つほどあり、窓格子と木製の扉がついていた。


「……すまないな……人を入れることなんてないから……散らかってて……」


 ヨウも少し緊張しているらしい、どこか居心地が悪そうだ。


「あ、ううん! すごく片付いてると思うよ!」

(元の世界の私の部屋に比べたら、もう全然……)


 佐知子は自室を思い出し苦笑いする。


「どっか……適当に座ってくれ」


 そう言われ佐知子は少し戸惑ったが、入口に近いような遠いような微妙な場所に座った。

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