9 煌めくアズラクランプ。
ハンム、行ってきますー。と、軍用地門番にライラが通行証のようなコインを見せた。
この子は新入りです。と、ライラが言ったため佐知子もすんなり出ることができた。
広場に出ると、暗い中にぽつぽつと、綺麗なガラスが散りばめられた楕円形のランプの街灯があることに佐知子は気がつく。
オレンジ色の物や青、白など、ガラスの色で様々な色に煌めいている灯りが美しい。
そんな街灯を眺めながら、広場を右手に進んでいくと、
「ここだよー」
ライラが天井が円形の、大きな建物の前で立ち止まった。
入口には街灯のランプと似た、しかしもっと鉄の装飾とガラスの模様が凝ったランプがいくつもぶら下げられ、入口を照らしていた。
美しく、様々な色が煌き、明るい。
佐知子はその美しさに瞳を見開いた。
「すごいね……ここ……」
「え? 何が?」
入口の前で立ち尽くしている佐知子に、ライラが不思議な顔をしている。
「すごい綺麗……」
「あー……ランプ? 夜はどこもこうだよ?」
「そうなの!?」
驚いて佐知子は少し大きな声でライラに返してしまう。
「うん……まぁ、このランプはアズラクランプって言って、アズラク帝国独自のランプなんだけどねー」
「アズラク帝国……」
「ほら、早く行こう!」
「あ、うん!」
またもや知らない国の名前が出てきて、佐知子がつぶやきながらどんな国かと想像を巡らそうとすると、呆れたように笑ったライラが手を引き、ハンムの中へと佐知子は足を踏み入れた。




