1-2 カーシャとトト。
「まったくあの子は……さて、えーっと……サチコだっけ?」
賑やかな二人が去っていくと、ヨウと佐知子の前に、スラリと高身長なカーシャとトトが立った。
カーシャは、臙脂色のVネックの半袖シャツに白いズボン、革のサンダル。
トトは青いVネックの半袖シャツに白いズボン、革のサンダルを履いていた。
そして二人とも、
(凄い色だな……)
佐知子は近くでカーシャと目を合わせて、思わず少し目を見開く。
カーシャとトトのアフリカ系の二人はやはり瞳が赤い。
「あ、はい!」
とても珍しくて佐知子はじっと見つめてしまうのを堪えて、視線をそっと自然にそらして返事をする。
「私は医者のカーシャ、よろしくね。こっちは弟で薬学師のトト」
(あ、やっぱり兄弟なんだ……)
そう思いながら佐知子はよろしくお願いします。と、お辞儀をする。
トトは無表情で少しお辞儀を返してくれた。そしてゴホッと、咳をする。
「で、さっそくなんだけど、これから病院行って健康診断したいんだけどいい?」
カーシャにそう問われる。
「あ、はい! ……大丈夫だよね?」
反射的に返事をしてから、佐知子は横にいるヨウに伺う。
「ん? ああ、大丈夫だ」
ヨウは答える。
「よし! じゃあ、病院行くよ!」




