表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様の外交官  作者: 山下小枝子
第二部 第八章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

261/267

10 自分の知らぬ間に。

 同行する手筈です。と言うファティマとミンを両脇に従え、前にヨウともう一人の軍人、後ろにもう二人の軍人に囲まれ、佐知子は貴賓室を出た。


 貴賓室から専用の鉄の扉を通る。


 久しぶりに外に出るな。と、眩しい太陽に目を細め、仰ぎ、懐かしく思っていると、周囲の目が気になった。

 まだ軍用地の中だが、皆、遠巻きに佐知子を見ている。

 まぁ、仕方ないよな。と思いながら軍用地の門まで来た。


「タカハシサチコ様、門から出ましたら、やってくる村民とは話さずに急いで病院へとお入りください」


 急に真面目な表情でヨウにそう言われる。

 え……と、佐知子は戸惑うが、


「はい……」


 と、答えるしかなく門が開かれた。

 佐知子が一歩、外に出ると、


「タカハシサチコ様ー!」

「神の使いよー!」

「サチコ様ー!」


 突然、数十人の人達がわっと佐知子の元へ押しかけてきた。

 佐知子が驚いて足を止めてしまうとヨウが盾となり村民を阻み、


「早く病院へ急げ!」


 佐知子に走るよう指示する。

 何が起こっているのかわからないまま、ファティマとミンに庇われながら走り出すと、


「下がれ!」

「話せるのは抽選に当たった者だけだ!」


 という他の軍人の声が聞こえた。


「サチコ様!」


 村人の声が聞こえる……いつの間にこんなことに……と、小走りで病院へ向かっていると遠くから眺めている人達の姿が目に入った。

 走りながらだが冷静に観察すると、自分を取り巻く人は数十人でおそらく熱心な教徒……信奉者という感じの人達なのだろう……一体、自分が部屋に閉じ込められている間に、村はどうなっていたんだろう……と少し村の情勢を心配しながら佐知子は病院の中へと入った。


 扉が閉められ、ほっと息をつく佐知子。


「大丈夫か?」


 ヨウが声をかけてくれた、いつも通りの言葉で。


「うん」


 それが嬉しくて、少し驚いた表情をした後、佐知子は笑顔で返事をした。


「っ……」


 ヨウが言葉に詰まり、顔を反らす。


「…………」


 そんなヨウを見て、ヨウとも話さないとなー……と、佐知子は病院内の用意された部屋へと向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ