3 トトからの差し入れと微妙な空気。
「はぁ……」
ヨウとセロと佐知子だけになった部屋で、絨毯に座りボスンと体をクッションに投げた佐知子。
「おつかれ~! なんかお茶とお菓子持ってきてもらう?」
横に座ったセロがそう聞くと、コンコンとノックの音がした。
ミンが扉を開くとそこにはトトが。
「あ……今、いいかな」
佐知子はトトの姿を見ると慌てて立ち上がり入口へと駆け寄った。
「トトさん! どうしたんですか!?」
そう問うと、
「あ……薬草茶……よかったら……リラックスできるやつだから……」
トトは薬草茶の入った、ヨウがいつも持ってくる銀製の携帯器を渡してくれた。
「わー! 嬉しいです! ありがとうございます!!」
佐知子は今度はどんなおいしいお茶だろう。と、喜ぶ。
「砂糖は、自分で入れてね」
トトは少し微笑む。
「はい! ありがとうございます!」
「……じゃあ」
そう一言挨拶すると、トトは部屋を後にした。
「やったー! トトさんのハーブティー!」
嬉しそうに銀の携帯器をかかげながら、嬉しそうに笑って小走りに二人の元へと佐知子は戻る。
「……サッちゃん……いつトトさんとそんなに仲良くなったの?」
セロはきょとんとしている。
「え? ああ、ノーラさ……難民の親子さんをアーマ宿舎に入れてあげようとしたとき、ちょっと相談して……それから色々あって、お家でハーブ……薬草茶いただいたんです。美味しかったなー」
そう話しながら佐知子がにこにこしていると、
「……そう」
「…………」
セロとヨウは微妙な空気を漂わせていた。
え? 何? と佐知子は思う。
特にヨウは……初めて見る機嫌が悪いような感じだった。
「あの……トトさんに薬草茶貰うの……ダメでしたか……?」
佐知子がどうすればいか悩んだ挙句、問うと、
「いやいや! 驚いただけ! しかし薬草茶なんてよく飲めるねー、僕は飲まないよ。シャイおねがーい!」
セロはいつもの様子に戻り、ファティマたちに呼びかけた。
「……俺も……シャイをもらう……」
不機嫌なヨウもそう言う。
「えー! 美味しいのに! きっと!」
佐知子がヨウを見ると、ヨウは不機嫌さと暗さが混じった雰囲気を漂わせていた。




