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神様の外交官  作者: 山下小枝子
第二部 第八章

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1 自分のしたことの責任。

 その後、村は大騒ぎだった。


 正式に神の使いとして公表され喜ぶほぼ信者と化した人たち。

 神の使いなんて笑えるな。と笑い話にして終える人たち。

 神の使いだなんて代表や高官たちは大丈夫かと、不信感を抱く人たち。


 そんな町の人たちをよそに貴賓室へと戻った佐知子たち。

 ヨウに支えられ布をかぶり貴賓室に戻ってきた佐知子は、もう泣き止んではいたが泣いたせいでぼうっとした頭で先程の、自分が演説をした後の村の人々の反応を思い出していた。


 パタンと扉が閉まると、


「何故、あんなことをした」


 ハーシムの静かな低い声が部屋に響いた。


 その声に、ついてきた長官、副長官、タカヤなどが息をひそめハーシムを見た。

 佐知子はその言葉に肩に力が入り、恐怖感に襲われる。


 怒られる。


 そう思った。


 逃げ出したいと瞬時に心にわいた。

 しかしこれは自分が考えて行動した結果だ。

 責任は……取らなくてはならない。


 逃げられないし、怒られて当然のことをしたのだ。


 用意した衣装もスピーチ内容もその衣装代も、佐知子のために割いてくれたハーシムやファティマ、ミンの労力も時間も手間もすべて無駄にした。


 特に、わざわざ仕事が忙しい合間を見て、色々教えてくれたハーシムには申し訳なく思った。


 全部を無駄にしたのだ。

 裏切ったと言ってもいいかもしれない。


 佐知子は怖かった。

 体がこわばっているのがわかる。

 泣きそうだった。


 それでも、それでも言わなければいけない、伝えなければいけない。


 佐知子はそっとヨウの脇から離れると、布をスルリと手に持ち、涙目でハーシムの金色の瞳を見つめた。

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