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神様の外交官  作者: 山下小枝子
第二部 第五章

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1 突然の終わり。

「今日もありがとね、サチコちゃん」


 役場での仕事を始めて二週間ほどたった佐知子。

 今日もアーサーとアーマ宿舎での仕事をし、帰り際にアーマの中年女性ににこにことほほえんでそう言われた。


「いいえ、何かあったらまた言ってくださいね」


 佐知子は笑顔を返す。


 アーマの人達に手を振られ、アーサーとアーマ宿舎を後にした。


「今日も仕事がはかどったねー」

「はい」


 炎天下の下、歩いて二人は役場へと向かう。


 この炎天下にはもう慣れている。

 日差しはきついが湿度がないので、日本の夏に比べれば楽だ。

 もう既に佐知子は日本の夏の暑さを忘れているくらいだ。


「あ、そういえばさ……サチコさん……」

「はい?」


 隣を歩くアーサーが、何か言いづらそうに言おうとした時、


「サチコ……」

「うわ!!」


 突然、背後から名前を呼ばれ佐知子は驚く。

 しかも久しぶりに聞くこの声は……と、佐知子が振り返ると……そこには馬に乗ったヨウがいた。


「ヨ、ヨウ副長官! お疲れさまです!」


 隣のアーサーも驚いて、なぜか敬礼しながら挨拶をしている。


「え……ヨウ? どうしたの?」


 佐知子も突然のヨウの出現に呆然とする。

 凄く久しぶりに会うような気がして……心が少し嬉しくなっていた。


 ヨウはアーサーを馬上から、少し冷たい目で下から上まで見ると、


「……ああ」


 と、真顔で返事をする。

 そして佐知子に顔を向けた。


「今から会議があるから来てほしい……役場の仕事はもうしないようになってるから……」


 ヨウにそう言われ、佐知子は驚く。


「え……これから役場の通訳の仕事だけど……しないようにって……」

「役場の仕事はもう終りだ……ハーシムさんからもう連絡がいってるから気にするな。早く馬に乗れ」


 どこか不機嫌そうにヨウは自分の前をあけて手を差し出す。


「あ、えっと……」


 戸惑って佐知子がアーサーを見ると、


「あ! 行ってください! 行ってください! 大丈夫です! 漆喰板は私が持って行きますので!」


 なぜかアーサーはいつもと違う敬語で、佐知子の漆喰板を取り、さぁさぁと手で促した。


「……アーサーさん、ごめんなさい。ズハンさんに会ったらすみませんと伝えてください」

「うん! あ、はい! 大丈夫です! 伝えときます!」


 アーサーは緊張して焦っているようだった。

 ヨウがいるからかな……と、佐知子は早くその場を去ることにした。


「じゃあ……」


 会議とは何だろう……と、疑問に思いながら、佐知子はヨウの手を取り馬に乗った。

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