表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様の外交官  作者: 山下小枝子
第二部 第四章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

225/267

23 トトの最後のアドバイス。

「はぁ……愚痴って泣いたらすっきりしちゃいました! トトさんにアドバイスももらえたし! すみません! ありがとうございました!」


 一転、明るい笑顔をすると佐知子は頭を下げる。が、


「……うん……あとね」

「はい?」


 トトはまだ何かを言おうとした。


「人に期待するのはよくないよ……怒りが沸くのは…………多分、相手が自分の期待通りになってくれないからだと思う……から……」

「…………」


 真顔で佐知子は黙り込む。


「仲良くしたいのに、どうしてこの人は私の思った通りに仲良くしてくれないの? っていう気持ちで悲しくなったりイライラしてるんだと……話を聞いて思って…………相手には相手の気持ちがあるから、相手の気持ちをコントロールすることはできないから……コントロールできないものに悩んで時間をかけるより、コントロールできること、自分のことに力を注いだ方がいいよ……ああ、この人はこういう考え方なんだな。って割り切るとか……まぁ……結局、さっき言った最低限の関わりですます……ってことになるんだけど……」

「…………」


 真顔で伝えてくるトトの言葉に佐知子は何も言えなかった。ただ唖然としていた。

 認めたくはない……が、確かにそうかもしれない……と、佐知子は考える。


 自分が正しくて、自分の思った通りにならないから、自分は怒ったり悲しくなったり……でもそれは相手の気持ち……自分ではコントロールできないことだ……しかも話し合いも拒絶された……。


「トトさんって……いくつですか?」

「え……二十六だけど…………」


 二十六……佐知子は自分と十歳くらいしか変わらないのに、こんな達観したような考え方をするトトを、何だか尊敬すらしてきた。


「そうですか…………何か……トトさん…………凄いですね……」

「え……」


 少し狼狽えるトト。


「あ~~~~! 私って本当に未熟だなぁ!!」


 鉄のテーブルに、ガン! と、勢いよく額をつけ……もはやぶつける佐知子。


「…………俺も……まだまだ未熟だよ……」


 佐知子の行動に、驚いて瞳を見開いた後、少しおかしそうにトトは笑った。


 こうして、夕暮れになるまで二人は草木や鳥に囲まれながら、静かに会話を楽しんだのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ