19 トトの淹れたミント茶。
はぁー……と、佐知子は息を吐く。
ここは凄くリラックスできる。と思いながら顔を空から戻すと、きょろきょろとリャドの植物を見た。
ジャングルという感じではなく、きちんと手入れされ区分けもされている。
(あ、あのお花かわいー)
草花を眺めながらリラックスしていると、すぅっと気持ちのいい風がリャドを通り過ぎて行った。
(リャドはいいなぁ……)
目を閉じ、再度、顔を空に向け、膝の上で両手を合わせながら静かに呼吸していると足音が聞こえた。スッと佐知子は姿勢を正し、クッションから背をはなす。
やってきたのは、シャイグラス二つと、小さな白い陶器の容器と、ガラスのティーポットを銀のトレイにのせたトトだった。
「……お待たせ」
「いえ」
しかしテーブルにのせた、青と白の模様のついたガラスのティーポットに入っているミントティーを見て、佐知子は表情は変えずに内心ぎょっとする。
「これ……ミントティーですか?」
「え……うん……ミント茶」
佐知子の問いに、トトは不思議そうな顔をして答えた。
佐知子が思っていたミントティーは、透明なお湯に緑の葉が浮かんだミントティーだった。
だが、今、目の前にあるのは、ティーポットの中に濃い茶色の液体とともに、おそらくミントであろう葉が大量にいれられている……物だった。
(これ……え? 漢方? まぁ、薬草茶って言ってたし……)
佐知子が戸惑っていると、
「やっぱり……飲むの嫌かな…………」
向かいのソファに座りながら、トトがほんの少し眉を下げる。
「え! いえ! 私の世界のミントティーとちょっと違っていたのでびっくりしただけです! いただきます!」
手を振り、慌てて佐知子は答える。
「……そう……」
少ししゅんとした雰囲気のトト。
「ちゃんといただきます!」
再度、身を乗り出して伝えてきた佐知子に、
「……無理……しないでね」
トトはほんの少し苦笑した。




