17 お茶のお誘い。
佐知子は再度、半歩後退りしそうになる。
トトは背がとても高かった。そういえば以前もこんなことあったな。と、思い出しながら、ヨウで高身長には慣れていたはずだが、ヨウにしばらく会っていないからか、トトから威圧感の様なものを感じていた。
ヨウより大きいのでは? と、数秒首を上げ見つめていたがハッとする。
「あ、あの! 以前、会議で泣いてしまった時ハンカチを貸していただいたのですが! 忙しくてずっと返すのを忘れていまして! 昨日、洗濯して、アイロンは……持ってないのでかけられなかったんですが……お返しに来ました!」
カバンからハンカチを取り出し差し出す佐知子。
「ああ……これか……」
トトは納得したようだった。
「ありがとうございました。それじゃあ」
ハンカチをトトが受け取ったので、お辞儀をして佐知子は去ろうとしたのだが……
「あ……」
トトが、軽く手を上げ、何か言いたげだったので、佐知子は足を止めた。
「あの……前に話した……薬草茶……はーぶてぃー? 飲んで……行く……?」
俯き加減に、トトは途切れ途切れにそう聞いてきた。
「え……」
そういえば、いつぞや軍用地の裏庭で薬草畑をいじるトトと話したことを思い出す。
そして実は今、佐知子は炎天下の中のんびり散歩をしたり歩いてきたので、物凄く喉が渇いていた。
「お、お邪魔じゃなければ……ぜひ!」
微笑みながら佐知子が答えると、いつも無表情なトトがほんの少しほっとした表情をした。




