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神様の外交官  作者: 山下小枝子
第二部 第四章

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16 トトとの再会。

 久しぶりの役人宿舎の外は、村は、何だか新鮮に感じた。


 住宅街を歩いていると子供が遊んでいたり、それを日陰で眺めている母親、老人。

 住宅の壁はカラフルな地区があったり、青い地区があったり、真っ白な地区があったり、日差しはきついが久しぶりに青空の下、のんびりと外の空気を味わいながら佐知子は歩いていた。


(っと、あんまりのんびりしてる場合じゃないな、日差しもきつくなってきたし……)


 佐知子は座っている老人に声をかけた。


「すみません、一区はどちらですか?」

「一区かい? ここは三区だから、戻って右だよ。噴水の真ん前が一区だ」


 老人は笑顔で答えてくれた。


「ありがとうございます」


 頭を下げて、来た道を戻る。


(へー、噴水の前が一区なんだ……そういえば、一区とか住宅地の割り振り知らないなぁ……今度教えてもらおう)


 佐知子は足を進める。


 とりあえず噴水が見えてきたので、通りすがりの女性に声をかけた。


「すみません、トト薬師長の家をご存知ですか?」

「え……トト薬師長?」


 アフリカ系のカンラを着た女性は少し驚いていた。


「はい……」


 何だか気まずい。


「……そこの道を入って右側の二本目を曲がると、木がたくさんある家があるからそこよ」


 女性は不思議そうな表情で佐知子を上から下まで見ると、答えてくれた。


「ありがとうございます」


 ちらちらと振り返りながら女性は去って行った。

 なぜだろうと佐知子は思いながらも、やっぱり副長官だからかなぁ……や、草と話してた変人と言われてるからかなぁ……などと考えながら歩いていると、何だか役人宿舎の周りよりも閑静……というよりも、白い高い塀の向こうに大きな邸が少し見える、豪邸と呼んでいいような家が立ち並ぶ住宅街に足を踏み入れていることに気がついた。


(マジかトトさん……)


 佐知子は動揺しながらも二本目の道を曲がると、すぐにトトの家がわかった。


(これは……)


 周りの家とは一線を画していた。


 白い高い塀で覆われているのだが、トトの家も例外ではない。が、おそらく中庭があるのだろう、高い塀から更に高い木々や花が見えていたのだ。しかも大量に。


(まぁ、自分の家だから何しても自由だけど苦情来ないのかな……鳥とか虫とか……)


 そんなことを考えながら佐知子は歩いて行き、玄関を探した。


「あった!」


 玄関は来た道の反対側にあった。

 しばらく散歩もしていたので、くたくただ。


「あ……」


 鉄の鋲がたくさん打たれた青い扉の脇の、白い壁に打ち付けられた住所プレートの下には『カーシャ・ダクーリ トト・ダクーリ』と、黒いタイルに白くアズラク語で刻まれていた。


(カーシャさんと一緒に暮らしてるんだ……ていうか、名字、ダクーリっていうんだ……)


 そんなことを思いつつ佐知子は玄関扉についているドアノッカーを掴み、カンカン! と鳴らした。


 (トトさん家にいるかな……)


 不安に思いながら待っていると、ガシャン! と、アイシャの家にもあった防犯用の小さな鉄格子の入った除き窓が開いた。


「わ!」


 突然大きな音と共に赤い瞳が見えて、思わず驚いて佐知子は声を出して後退る。


「え、あ……え……どうしたの……今……開ける……」


 どうやらトトらしい。

 佐知子は驚いたがほっとして、ガチャガチャと鍵を外しているトトをしばらく待った。

 そして、


「サチコ……さん、だよね……? どうしたの……?」


 ゴホっと咳をしながら、真っ白のカンラ姿のトトが出てきた。

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